お墓にある遺骨を取り出して手元供養にすることはできる?留意点は?

制度・法律

「現在のお墓から遺骨を取り出して自宅で手元供養したい」「新しい納骨先はまだ決まっていないけれど、しばらくの間は遺骨を自宅に安置したい」

このように、お墓に入っていた遺骨を自宅に引き上げたい場合、どんな手続きが必要なのでしょうか。

改葬とは

すでにお墓などに納骨している場合は、現在のお墓から遺骨を取り出す必要があります。

改葬とは「お墓の引っ越し」

現在のお墓から遺骨を取り出して、新しいお墓や納骨堂などに移すことを「改葬」といいます。簡単にいうと、お墓の引っ越しです。

改葬するには、法律に則った公的な手続きが必要になります。お墓に埋蔵してある遺骨を勝手に移動させたり処分したりすることはできません。

改葬の手続き

お墓から取り出した遺骨の全部を改葬するには、「改葬許可証」を改葬先(新しく移すお墓や納骨施設)に提出する必要があります。

改葬手続きの一般的な流れ

  1. 改葬先の管理者から「受入証明書」を発行してもらいます
    「受入証明書」とは「間違いなく故人の遺骨を受け入れます」と、改葬先の施設が証明する書類です。
  2. 「改葬許可申請書」を準備します
    「改葬許可申請書」は、現在お墓のある自治体(役所)の窓口やホームページで入手できます。必要事項を記入した上で、現在あるお墓の管理者(お寺など)から「埋葬証明」の署名・捺印をもらいます。
  3. 「改葬許可証」をもらいます
    「改葬許可申請書」と「受入証明書」を、現在お墓のある役所に提出して「改葬許可証」を交付してもらいます。
  4. いまあるお墓から遺骨を取り出します
    遺骨を全て取り出した場合、墓地は更地に戻して、墓地管理者に返還します。
  5. 新しい墓地(納骨施設)に遺骨を移します
    納骨する際に「改葬許可証」が必要です。「改葬許可証」がないと、改葬先(新しい墓地(納骨施設)はお骨を受け入れてくれません。

新たにお墓(納骨堂)に納めない場合の手続きは?

改葬先が自宅の場合、こうした役所の手続きはどうすればいいのでしょうか?

自宅安置の場合、受入証明書はない

手元供養したいと思った場合、新たに遺骨を納める場所は、お寺や納骨堂ではなく、自宅になります。

先ほどご説明したように、改葬したいときは役所に「改葬許可申請書」を提出します。その際、新しく遺骨を納めるお寺や納骨堂から発行された「受入証明書」を添付する必要があります。

しかし、自宅が改葬先だと「受入証明書」は用意できません。この場合、改葬証明書をもらうことはできないのでしょうか?そもそも、改葬証明書は必要なのでしょうか?

遺骨を自宅に安置してもいい?

遺骨を自宅に置いておくこと自体は、なんの問題もありません。
ただし、遺骨を自宅の庭などに埋めることは墓地埋葬法という法律で禁じられています。

自治体によって判断が異なる

実は、遺骨を自宅安置する場合の手続きは、各自治体によって異なっています。
おおまかに以下のようなパターンがあります。

改葬先が決まっていないと申請ができない自治体

自治体によっては、改葬許可証がないと遺骨を取り出せないところもあります。
改葬許可証を交付してもらうためには、まず、改葬許可申請書の提出が必要です。改葬許可申請書には、改葬後に遺骨を納める場所を明記しなければいけません。しかし、手元供養にするからといって自宅の住所を書いても、許可がおりません。改葬先が墓地または納骨堂でないと、許可されないのです。

受け入れ先が「自宅」でも「改葬許可証」を発行してくれる自治体

改葬先が自宅であっても「改葬許可証」を発行してくれる自治体もあります。
改葬申請書にある「受入先(引っ越し先)」の欄に、「自宅」と記載して申請すれば、「改葬許可証」を交付してくれます。
言い換えると、自宅に遺骨を保管するためでも改葬許可証が必要ということになります。

改葬許可証なしでも遺骨の取り出しができる自治体

法律では、改葬とは「他のお墓または納骨堂に移すこと」とされています。
そのため、自宅に遺骨を置く場合は改葬とはみなさないので、改葬許可申請自体、必要ないという自治体もあります。改葬許可証がなくても遺骨の取り出しができるということです。

の場合、現在の墓地の管理者に遺骨を返してもらうよう請求し、お墓から遺骨を取り出して持ち帰れば手続きは終了します。

許可証不要の場合の留意点

遺骨を一時的に自宅で保管する場合でも、現在のお墓の管理者から埋蔵証明を交付してもらいましょう。
家族や親族がいても、遺骨を引き継いでくれるとは限りません。仮に子どもが引き継いでくれたとしても孫やひ孫までそれを望むのは難しいでしょう。自宅に持ち帰った遺骨は、いつか承継する人がいなくなるので、永遠に自宅に安置しておくことはできません。

いずれは新しい墓地や納骨施設に納骨することになります。その際に改葬許可証を提出を求められます。改葬許可証の交付を受けるときに埋蔵証明書が必要になるので、その時に備えて、埋蔵証明書を忘れずにもらっておいてください。

自宅で一時的に保管する場合は許可が必要

改葬先がすでに決まっているけれども、その前に一時的に自宅で遺骨を保管する場合は、改葬の許可申請が必要です。この一連の行為が改葬に該当するからです。

ななのひとこと・ふたこと

手元供養とひとくちに言っても、さまざまな種類がありますよね。アクセサリーだと外出する時もずっと一緒にいられるからいいかもなぁと思っています。でも、普段あまりアクセサリーをつける習慣がないので、家に置いておくタイプがいいのか、悩みます・・・。