お墓の跡継ぎがいなくても大丈夫?永代供養と永代使用の違い

制度・法律

お墓探しをしていると「永代供養」という言葉を目にすることがあるかと思います。また、似たような言葉で「永代使用」というものもあります。この2つの言葉は似ているものの、意味することはまったく違います。
混同されやすい「永代供養」と「永代使用」の違い、そして無縁墓についてまとめてみました。

永代供養と永代使用の違い

永代供養と永代使用は両方とも「永代」の言葉が付きますが、意味はまったく異なります。

永代供養(えいたいくよう)とは

寺院や霊園が、ご遺骨を預かって永代にわたって供養すること

永代使用(えいたいしよう)とは

寺院や霊園にあるお墓の場所(区画)を、永代にわたって使用すること

永代供養は、霊園や寺院に管理や供養を代行してもらうため、お墓を継ぐ人がいなくても問題ありません。一方、永代使用は、お墓を建てる土地を使用することであり、お墓を継ぐ人がいなくなった場合、寺院や霊園に土地を返す必要があります。

永代供養はお墓の跡継ぎがいなくても問題ない

お墓を継いでくれる人がいない、子どもに負担をかけたくない、といった理由から、永代供養つきのお墓のニーズが増えてきています。

お寺や霊園が永代にわたり供養してくれる

永代供養とは、お墓を管理する人がいなくても、お寺や霊園が責任を持って永代にわたり遺骨を供養・管理をしてくれることをいいます。
ただし、「永代」といっても「未来永劫」という意味ではなく、遺骨を個別に安置してもらえる期間には一定の期限が設けられており、一定期間が過ぎると合祀(ごうし)されます。

合祀(ごうし)とは

合祀は「合わせて祀る(まつる)」という意味です。
個別の骨壺からお骨を取り出し、血縁関係のない人たちのご遺骨と一緒に埋葬することをいいます。不特定多数のご遺骨とひとまとめにされ混ざった状態になります。
個別安置される期間は、各寺院や各霊園によって3回忌、7回忌、33回忌、50回忌などさまざまです。年数によって値段も異なりますので、事前にしっかり確認しましょう。

合祀後はどうなるの?

合祀後は、個人としてではなく合祀墓で眠るたくさんの方々と一緒に供養されます。つまり、個別のお骨として区別しないのであれば「永代」に渡って供養してもらえますが、個別の供養には期限があるということです。

晩婚化や非婚化でお墓を引き継いでくれる子供がいない、子どもが遠方に住んでいるいった傾向を背景に、近年では永代供養を選択する人が増えています。
なお、永代供養のお墓は、屋内では納骨堂、屋外では永代供養墓や樹木葬など、さまざまな形態・種類があります。

「永代」とは「永久」を意味するものではない

永代供養の多くは一定期間を過ぎると遺骨は合祀されます。個別供養の期間はお寺や霊園ごとに期間が設けられており、その期間が終わると、他の遺骨と一緒のひとつの埋葬場所に移され供養されることになります。

つまり、残念ながら、永代供養の「永代」は「永久」と同じ意味合いではありません。永代供養は永久に個別供養を行ってくれるという意味ではなく、一定の期限があるのです。

個別に供養してもらえる期間は施設ごとに異なります。どんなプラン(期間)があるかは、契約時にきちんと確認しておきましょう。

永代使用はお墓の跡継ぎが必要

「永代供養」に似た言葉として「永代使用」というものがあります。似てはいますが、大きな違いがあります。

「お墓を買う」=「土地を所有する」ではない

永代使用とは、寺院や霊園にあるお墓の場所(区画)を永代にわたって使用することをいいます。一般に「お墓を買う」というと、「土地」と「墓石」を買うイメージがありますが、実は違います。

永代使用権はあくまで「墓所として永代にわたって使用できる権利」であり、「土地の所有権」ではありません。つまり、土地は「借りている状態」で、墓石は「自分たちのもの」ということになります。

土地は「借りている状態」なので、転売や他人へ譲り渡したり、貸付けたりなどは原則としてできません。また、墓地以外の用途で使用することも認められていません。また、あくまで土地を使用する権利なので、お墓の維持管理や供養は家族などが行う必要があります。

お墓を引き継ぐ人がいなくなったら返さなければならない

永代使用は期限は定められていないため、お墓を引き継ぐ人がいれば無期限で使用できます。ただし、お墓を引き継ぐ人がいなくなったときは、墓石を撤去し、墓地を更地に戻して返還する必要があります。なお、土地を返却しても、永代使用料は一切返却されません。

お墓を引き継ぐ人がいて、かつ、管理料を払い続けるないと「永代」に渡ってお墓を使用することはできません。その意味では条件付きの「永代」といえるでしょう。

無縁墓と永代供養の関係

永代供養ではないお墓で、お墓を継ぐ人がいなくなるとどうなるのでしょうか?

無縁墓とは

無縁墓(むえんぼ)とは、供養・管理をしてくれる遺族や親族がいなくなったお墓を指します。

一般的に、管理料の支払いが3年間滞ると無縁墓と判断されます。お寺や霊園は、契約者に対して管理費を支払うように電話や手紙などで連絡を試みます。また、該当のお墓の前に立て札をして、管理費を支払うよう注意を促します。

しかし、それでもお墓の権利者が現れない場合は、自治体に「無縁墳墓改葬許可申請」を提出します。その後1年が経過してもお墓の権利者が現れないときは、お寺や霊園はお墓を撤去することができます。

無縁墓の遺骨はどうなる?

無縁墓と認められたお墓に入っていた遺骨は多くの場合、合祀墓へ移され、墓石は処分されます。墓石は細かく砕かれ、道路工事用の砂利などとして再利用されます。

永代供養の果たす役割

永代供養を利用すると遺骨は施設が責任をもって末永くお骨を管理してくれるため、無縁墓になるのを避けられます。
永代供養はそんな無縁墓を少しでも減らすために生み出された新しい供養形式でもあるといえるでしょう。

ななのひとこと・ふたこと

言葉は似ているけど、意味するところは全く違うので注意しないといけませんね。