介護で困ったらまずは「地域包括支援センター」に相談に行こう

制度・法律

親が年老いてくると、今後の親の暮らしや介護について考え始めます。介護は誰もが向き合わなければならない課題といえるでしょう。

介護について悩みや心配ごとが生じたとき、まず頼るべきなのは「地域包括支援センター」です。

介護の経験がない人にとって「地域包括支援センター」という単語は、初めて聞く言葉かもしれません。しかし、地域包括支援センターは、介護の最初の一歩を踏み出すにあたって、とても心強い支えになりうる施設です。

今回は、地域包括支援センターとは何をしてくれるところなのか、どんなふうに利用したらいいのかなどについてお伝えします。

この記事のポイント
  • 地域包括支援センターは、高齢者の暮らしや介護について、高齢者本人とその家族が相談できる施設
  • ケアマネージャーや保健師などの専門家が、対処法をアドバイスしてくれる
  • 自治体が管理運営・相談料は無料なので、安心して利用できる
  • 介護に悩む前に、まず相談をすることが大切

地域包括支援センターってなに?

名前すら聞いたことがないという方が多いかもしれませんが、「地域包括支援センター」は各市区町村に設置されていて、2021年4月末時点では全国に5,000施設以上あります。

高齢者のための総合相談窓口

地域包括支援センターは、介護・医療・保健・福祉などの面から高齢者とその家族の生活を支える「総合相談窓口」です。高齢者が、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるようにサポートしてくれます。

相談できる内容は、高齢者やその家族の悩み、日常生活でのちょっとした心配ごとから、病気、介護、金銭的な問題、高齢者に対する虐待など多岐にわたります。

介護保険の説明や、実際に介護保険制度を申請するためのサポートも受けられます。そのほか、介護予防プログラムの紹介やオムツ助成券の発行、徘徊老人見守りサービスなどの市区町村が実施する各種福祉サービスの相談窓口にもなっています。

地域包括支援センターは、高齢者自身はもちろん、高齢者の家族にとっても身近な相談窓口なのです。介護が必要になったときだけでなく「要介護にならないためのサポート」もしてくれるということを、ぜひ覚えておいてください。

なお、各市区町村がセンターを直接運営しているケースと、市区町村から委託されて社会福祉法人や民間企業などが運営しているケースがあります。市区町村直営が20.5.%、委託型が79.5%で、委託型が増加傾向にあります。

どんな人が相談に乗ってくれるの?

「地域包括支援センター」には、保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャーなどが所属していて、相談内容に応じてさまざまな制度の説明や相談窓口の紹介など、専門的な対応をしてくれます。高齢者や家族などのさまざまな相談に応じてくれます。

「地域包括支援センター」は「住まい」「医療」「介護」「生活支援」「予防」といった高齢者の暮らしに必要な機能について、高齢者やその家族を総合的にサポートをするための施設なのです。

地域包括支援センターの窓口へ相談するのは無料です。相談すること自体にはお金はかかりませんが、紹介されたサービスを利用する際は、サービスによっては費用がかかるので注意しましょう。

地域包括支援センターはどこにある?

地域包括支援センターは、原則として1つの市区町村に1か所以上設置されています。おおむね、人口2~3万人程度に対して1か所で、これは公立中学校の学区と同じくらいの割合ということになります。

なお、地域包括支援センターは、「高齢者相談センター」「高齢者支援センター」「シニアサポートセンター」など地域によって名称が異なる場合もあります。しかし、市区町村ごとに必ず設置されています。詳しくは、自治体に問い合わせをするか自治体のホームページなどで確認してみましょう。

「地域包括支援センター 地名(地域名)」で検索をすれば、ほとんどの場合、対象地域の情報にたどり着けます。もし見つからなかった場合は、厚生労働省の「全国の地域包括支援センターの一覧」から探すこともできます。

利用できるのはどんな人?

地域包括支援センターは高齢者のための施設なので、誰でも利用できるというわけではありません。

利用できるのは65歳以上の人とその家族

地域包括支援センターを利用できるのは、その地域に住んでいる65歳以上の高齢者、またはその支援者(家族など)です。

支援や介護が必要な高齢者と、相談したい人(家族など)が離れて暮らしている場合、少し注意が必要です。離れて暮らす親について家族が相談したい場合は、支援対象者となる親が住んでいる場所の地域包括支援センターに相談しなければなりません。

どんなことを相談できる?

地域包括支援センターでは、高齢者に関わる「困りごと」なら何でも相談できます。以下に具体例を挙げてみます。

介護の相談

  • 地域で利用できる施設や福祉サービスを知りたい
  • 介護予防のプログラムが受けたいので紹介してほしい
  • 要介護認定はどうやって受けたらいい?
  • 要介護認定申請を頼みたい
  • 介護サービスを利用したい
  • 認知症でよく行方不明になる
  • 家族が認知症かもしれない…。最近、親のもの忘れが激しく、認知症かもしれないと思っている
  • 認知症を専門に診てくれる医療機関を教えてほしい
  • 介護に疲れてしまってどうしたらいいかわからない
  • 介護保険を使って家を改修したい。どうすればいい?

健康の相談

  • 身体の機能に不安がある
  • 今の健康を維持したい
  • 要介護状態になることを予防したい
  • 認知症について知りたい
  • 最近、物忘れが多くなり、気になっている
  • 認知症かもしれないが医療機関に行くのは勇気がいる
  • むせたり、飲み込みづらくなってきた
  • 最近体調が思わしくないが、かかりつけ医がいない。どこへ受診すればいい?

高齢者の権利を守ることの相談

  • 悪質な訪問販売や悪徳商法の被害に遭ってしまったが、どうすればよいか
  • 財産管理に自信がなくなったが、管理を任せられる人がいない
  • 家族が認知症で書類や金銭管理が困難になってきた
  • 高価な品物を買うように勧められて契約してしまったが、どうすればいいか
  • 成年後見制度について教えてほしい

地域住民からの高齢者に関わるトラブル相談

  • 隣の高齢親子が大声で喧嘩をしているのが聞こえる
  • 近所に家族から虐待を受けているらしい高齢者がいる
  • 近所に心配なひとり暮らしの高齢者がいる、最近姿を見ていない
  • 一人暮らしで生活が成り立っていない高齢者が近所に住んでいて、心配

その他、さまざまな相談ごと

  • 身体が不自由でゴミ出しに苦労している
  • 通院したいが移動手段に困っている
  • 地域の人たちと交流できるサロンなどを教えてほしい

困っていることが漠然としていて、はっきり説明できなくても大丈夫です。「介護が必要なほどではないけど、なんとなく心配なことがある」「親の様子がなんとなくおかしい」「介護のことで誰に相談してよいのか分からない」「そもそも介護について、何が分からないのかが分からない」といった相談でも、どのようなサポートが必要かを一緒に考えてくれます。

ひとりで悩んでいても何も解決しません。早い段階で地域包括支援センターに相談してみましょう。

地域包括支援センターを利用する際の留意点

地域包括支援センターを利用する際の留意点についてご紹介します。

相談はすべて無料だがサービスによっては費用がかかる

地域包括支援センターは、全国どの地域でも介護に関する相談なら全て無料です。費用の心配をせず安心して利用できるでしょう。自治体が管理運営する施設ですので、遠慮せずに最大限に活用してください。

ただし、紹介されたサービスを利用する際には、サービス内容によっては費用がかかることがあります。

早めに相談することが大事

「こんなこと相談してもいいのかな?」といった些細なことでも、まずは気軽に問い合わせてみましょう。

悩みごとが漠然としている段階では、地域包括センターに相談することは、なかなか勇気がいることかもしれません。しかし、介護問題は多くの人にとって人生で初めて直面する問題です。「何が分からないのかも分からない」状態かもしれません。だからこそ早いうちから専門家の力を借りるべきなのです。

今すぐに介護サービスを利用する状態ではなくても、いざ困ったときに相談にのってくれる場所があり、そこがどのようなところで、どんな人がいるのかを知っておけば、それだけで少し安心できるのではないでしょうか。

それに、地域包括支援センターは、元気でいつづけるため、要介護にならないためのサポートもしてくれます。自分たちで頑張りすぎず、早めに相談してみてください。

訪問の際は事前に予約をしていく

地域包括支援センターでの相談には予約が必要な場合もありますので、事前に問い合わせをしておきましょう。職員の方が不在で対応してもらえず、後日再訪するとなると、時間も手間もかかります。なお、状況によっては、職員の方が自宅を訪問してくれる場合もあります。

親と離れて暮らしているときこそ活用しよう

親と離れて暮らしている場合こそ、地域包括支援センターを積極的に活用しましょう。

遠距離介護をするためには、親が暮らす地域のサポートは不可欠です。どのようなサービスがあるのか、どんなサービスを受けられるのか、しっかりと確認しておきましょう。電話でも相談できますので、気軽に問い合わせてみてください。

ななのひとこと・ふたこと

介護は、多くの人にとって初めて直面する問題であるとともに、個人や家族だけで解決するにはとても困難なものでもあります。

ひとりで抱え込んではいけません。介護に直面したら、まずはとにかく「地域包括支援センター」を訪ねましょう。専門家のアドバイスを受けることでよりよい道が見つかるかもしれません。

介護に不安はつきものです。地域包括支援センターを上手に利用して、介護の悩みや心配ごとを少しでも軽くしていきましょう。