介護者の集いには無理して参加しなくていい

母の介護

誰かに相談したい、気持ちを共有したい

介護をしていると、誰かに相談したり、介護に対する不安や悩みを共有したくなります。

話をきいてもらえるだけで気持ちが落ち着くこともあるので、家族や友人に話を聞いてもらうのもいいでしょう。
ただ、同じ介護者であれば、悩みを共有しやすいですし、共感も得られやすいです。

全国には各地にたくさんの「家族会」「介護者の集い」がある

そんなときに頼りになるのが、「家族会」や「介護者の集い」です。
要介護者を抱える家族や、かつて介護をしていた人、介護に関わる仕事をしている人などが集まって交流を図ります。
全国各地にたくさんの「家族会」「介護者の集い」があります。
有志の介護者がNPOとして活動していたり、行政が主体で行っているケースなど、運営母体はさまざまです。

わらにもすがる思いで参加してみた

介護が始まった当初、物盗られ妄想で介護うつっぽくなっていた私は、仕事以外で出かけたり誰かと会うのがとても億劫になっていました。
だから、こうした集いに行く気力はありませんでした。

介護に対する不安を少しでも解消したくて、インターネットや本を読みあさっていましたが、「この先どうなるんだろう?」という漠然とした不安は消えませんでした。
そのうち、「誰かと思いを共有したい」「この気持ちをわかって欲しい」という感情が強くなり、勇気を振り絞って介護者の集いに参加してみることにしました。

有休を取って参加してみたけれど

私が初めて参加したのは、行政(自分の住んでいる区)が月に1回程度開催している介護者の集いでした。行政開催のものだったので当然といえば当然ですが、平日の午後2時からの日程しかありませんでした。
平日働いている介護者は絶対数としては少ないのでしょう。こうした介護者の集いは平日の昼間に開催されていることが多いです。

物盗られ妄想で精神的にかなり参っていた私はわらにもすがる思いで、このために午後半休を取って参加したのですが、嫌な思いをして帰ってくるはめになりました。

同じ家族介護者といっても立場や状況は人それぞれ

前半45分は、行政担当者から「区として取り組んでいる高齢者福祉制度」についての説明があり、後半は「参加者が自由に発言し交流を図る」という内容でした。

参加者は、(当時)30代だった私を除いて、50〜70代(年齢は言わないので推察です)の女性が7、8名。行政の担当者が3名だったと思います。
50代(と思われる)ひとりはパート勤務、それ以外は専業主婦か年金で生計を立てている方たちでした。同じ家族介護者といっても立場や状況はさまざまでした。
発言の内容から、参加者の半数ほどが認知症介護をされているようでした。

共感どころか全否定された

私は物盗られ妄想でつらい思いをしていることを話しました。
認知症の人全員に物盗られ妄想の症状が出るわけではありませんが、認知症介護している人には共感してもらえる悩みだと思っていました。

ところが、驚くような、とても悲しい発言が数人から返ってきました。
「そんなのまだまだ。たいしたことじゃないでしょう。甘い。」
「うちなんか、徘徊して一晩中探しまわって大変だった。」
「(老老介護で)体力がないから大変。あなたはまだ若いから、そんなこと言っちゃダメ。」

同じ家族介護者とはいえ、立場や置かれている状況が違うと、悩みを共有するどころか全否定されてしまうのか、と衝撃を受けました。
平日の昼間、わざわざ会社を休んで参加した自分が悪かった、と思うしかありませんでした。

他人を否定したり、他人と比較しない

もちろん、平日働いている自分のほうが大変だとは言いません。年を取るほど体力的にはつらいでしょうし、要介護者の症状によって、精神的・身体的負担も大きく変わります。
でも、介護に対する悩みは人それぞれです。たとえ、客観的に比較したらAさんのほうが大変だったとしても、そんな比較は意味がないのです。
その人にとっては、とてもつらい悩みだからです。

過去を振り返ったときに、自分の中で「あの時あんなに悩んでいたけど、今思えばたいしたことなかったな。」と感じることはあると思います。
ただそれは、自分自身との比較であって、他人との比較であってはいけないです。

でも、もし、気が向いたら行ってみよう

いろいろな考え方や違う立場の人の意見を聞くことも大切だと思っています。
立場が違っても、他人を否定しない人はいます。というかそういう人のほうが多いと思います。

自分に合った集いが見つかるまで、何度か嫌な思いをすることもあるかもしれません。
「時間が合わない」「開催場所が遠い」「そもそも行く時間なんかない」などいろいろな制約があるかもしれません。
でも、介護に悩んでいる人は、可能であればとりあえずこうした集いに行ってみることをお勧めします。

参加者の属性や会の雰囲気は、参加してみないとわからないのですが、なんとなく行ってみたいと感じたときに、いろいろな集いに参加してみましょう。
ただ、無理して行く必要はありません。気が向いたら行けばいいのです。

他人を否定しない

私も、何度か参加しているうちに、自分に合った集いを見つけることができました。

そこはまず会の始めに、担当者の方から、こうお話があります。

  • ここで聞いたこと(個人情報に関わること)は、この場限りで自分の胸のうちにとどめること
  • 他人を否定しないこと

当然といえば当然のことですが、こうして冒頭に話してもらうのは、とてもいいことだと思います。
担当者の方に聞いたら、やはり過去にそういう人がいて、他の参加者が嫌な思いをしたことあったので、それ以来、約束事として話すことにしたそうです。

話して、気分転換する

インターネットや本を読めば、介護についてたくさんの情報を得ることができます。
特にインターネットでは、介護者の方が発信されているブログでリアルな実情を知ることもできます。私も、とても参考にさせてもらっているブログがいくつかあります。
今は便利な時代ですから、インターネットでたくさんの情報を収集できるのはとても助かります。(役に立たない情報もたくさんありますが。。。)

それでもやっぱり、実際に人と会って話すと、独りよがりな自分の考え方や思い込みに気づくことができたり、気分転換になります。
情報収集だけじゃないのが、いいところです。
久しぶりに介護者の会に参加して良かったなと感じたこと

ななのひとこと・ふたこと

無理して行く必要はありません。気が向いたら参加すればいいです。
私は、去年はわりと精力的に介護者の集いや介護イベントに参加していました。が、今年はなんとなく気が向かないことが多いので、あまり参加していません。
何事も無理は禁物。義務的に参加しても気分転換にならなくて、むしろつらいだけだですしね。