親の介護を職場に打ち明けたのは「徘徊」がきっかけでした

母の介護

介護をしていると、急きょ会社を休んだり遅刻や早退する必要が出てきます。
ですから、介護していることについて、職場で理解を得られるに越したことはないです。

母はもともと持病を抱えているので、面倒を見るために同居していることは、職場には以前から伝えていました。
でも、介護が始まってしばらくは「母が認知症になったので介護をしている」ことは、上司に話していませんでした。

なぜ介護していることを上司に話さなかったのか?

有給休暇が取りやすく、時間の融通もわりときく職場なので、育児中の同僚や上司も多く、お子さんが体調を崩したりすると急きょ休む人も(男女問わず)多いです。
介護が始まってから、会社を休んだり遅刻早退することが以前より増えましたが、介護していることを打ち明ける必要性はそんなに感じていませんでした。

また、母が認知症であることを打ち明けるのに少なからずためらいもありました。
認知症という病気について、上司の理解を得られるかどうか、不安に思っていました。
そして、なんだかんだ言って、自分自身がまだ、認知症という病気に対して偏見を持っていたからなのかもしれません。

それなのに、なぜ介護を上司に打ち明けたのか?

母がひとりで家にいるときに、外へ出て行ってしまい、戻って来れなくなることがたびたび起こるようになりました。
仕事中の私の携帯、ときには会社の電話へ、交番から呼び出しが頻繁にくるようになったのです。

以前住んでいた家に戻ろうと思うらしく、電車やバスに乗ってひとりで出かけてしまうのですが、途中で自分がどこに行こうとしていたのかわからなくなり、現在住んでいる家にも帰ってこれなくなるのです。
すると、交番から、母を迎えにくるように電話がかかってきます。
「仕事中なのですぐには行けない」と伝えても、「興奮しているから早めに来て下さい」と言われます。
そうなると、なんとか仕事を調整して、急きょ早退せざるを得ません。

いくら時間に融通のきく会社だといっても、さすがに頻繁にこんなことがあるようでは、職場にも迷惑がかかってしまいます。
いわゆる徘徊(という言葉は嫌いですが)がきっかけで、母が認知症であることを上司に打ち明けることにしました。

上司に介護を打ち明けてどうなったか?

幸いなことに、介護に対して理解のある上司でした。お祖父さんが認知症だった(既に他界されている)そうで、認知症についても多少の知識はあるそうです。
私は時短勤務制度は利用していないのですが、残業についてある程度、考慮してくれるようになりました。

でも、職場によっては介護について理解が得られないことも多いようです。
その場合、会社員としての仕事との両立はかなり厳しくなると思います。

なぜ、交番は私の電話番号がわかったのか?

以前は母に携帯電話を持たせていたのですが、肝心の出かけるときに携帯しないので、外に出てしまうと連絡が取れなくなってしまいます。
母が出かけるときに必ず持っていくものは家の鍵がついたキーホルダーです。鍵はきちんとかけていくからです。
なので、今は私の携帯電話番号を母のキーホルダーに書いています。
でも、当時は携帯番号を書いていませんでした。母は、私の携帯番号を覚えていないのに、なぜ交番から私の携帯に電話がかかってきたのか不思議でした。

自転車の防犯登録から電話番号がわかった

理由はこんなことでした。
母は、私の名前は覚えています。なので交番で娘の名前を聞かれても答えることができます。
以前、私が自転車を買ったときの防犯登録から名前と電話番号を調べて、電話をかけたそうです。
思いがけない理由でしたが、連絡が取れて良かったです。
何が役に立つかわからないものだなー、と思いました。

ななのひとこと・ふたこと

「徘徊」ってなんだか嫌な響きです。外に出て行くのには必ずその人なりの理由があります。認知症だからって、なんにもわからなくなるわけじゃありません。感情だってちゃんとあるひとりの人間です。