母の入院している部屋は6人部屋です。
昨日の午後、病室にいたとき、カーテン越しに看護師さんの声が聞こえました。
「◯◯さん、お腹から栄養入れましょう。」
どうやら、胃ろうをされている患者さんのようです。
そういえば母も以前、胃ろうを検討するように医師から言われたことがあったな、とふと思いました。
食事介助について思うこと
入院してしばらく、母は自分ひとりでは食事が摂れず、介助が必要でした。
看護師さんが介助してくれますが、都合のつくときはなるべく食事の時間に合わせて病院へ行くようにしていました。
主な理由はふたつです。
ひとつは、看護師さんに食べさせてもらうより、娘である私が介助した方が、嫌がらずに食べてくれるからです。
もうひとつは、悲しい光景を見てしまったからです。
ある日、配膳時間より少し遅れて病室に行ったときのことです。
「さぁ、お食事食べましょうね〜。」と言って、看護師さんがお粥の中にハンバーグとナムルを混ぜ合わせてスプーンで母の口に運んでいたのです。しかも、食後に飲むはずの薬も混ぜ込んでありました。
母の食事はきざみとろみ食です。だから簡単に混ぜ合わせることができます。
でもだからといって味の異なる食べものをぐちゃぐちゃに混ぜちゃうって…。薬も一緒に入れちゃうなんて…。味も見た目もお構いなしです。
母の昨日の昼ごはん
食べものの中に薬を混ぜるとか、ゆっくり味わう間もなく口の中にどんどん食べものを押し込まれるといったことも、病院や介護施設ではよくあることのようです。
聞いたことはあったものの、目の当たりにしたのは初めてだったので、ちょっとショックを受けました。
看護師さんは忙しいので、ひとりの患者につきっきりで介助はできません。効率的に早く食べさせることが第一目的になってしまうのも仕方ないと思います。
でも、食事ではなくエサを与えられているように感じて、悲しい気持ちになるのも事実です。
言葉にならないなんとも言えない気分になります。
嚥下できるということ
おかげさまで今はだいぶ回復したので、母は自分で食事を摂れるようになりました。
それでもなるべく、食事どきに合わせてお見舞いに行くようにしています。
食事の介助は必要ありませんが、母がきちんと食べているか確認したいからです。
もともと食いしん坊の母が食事を残すと心配になります。
なんで食欲ないんだろう?具合悪いのかな?それとも口に合わない(おいしくない)だけかな?などといろいろ考えてしまいます。
だから、全部きれいに食べてくれるとホッとします。
また、ひとくちひとくち食べものを口に入れ、ゴックンと飲み込むのを見ると、とても安心します。
嚥下機能が低下して食べるのがままならなかったときのことを思うと、嬉しくて嬉しくて泣きたい気分にさえなります。(泣かないけど。)
食べものをゴックンと飲み込むという、普段当たり前過ぎて何とも思っていない行為が、実は人間が持っているとても高度な身体機能だということに、改めて気づくのです。
ななのひとこと・ふたこと
食事介助の一件はショックでしたが、看護師さんは精神的にも肉体的にもとても大変な仕事だろうな、というのは容易に想像できます。
看護師さんには本当に頭が下がります。いつもありがとうございます。