高齢者に熱が出たとき、受診するか、少し様子を見た方がいいのか、迷ったらどうする?

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高齢者の発熱、何度なら受診する?

高齢の親が発熱したとき、何度なら病院へ行くべきか、どれくらい熱が続いたら行くべきか悩むことはありませんか?そもそも、明確な基準なんてあるんでしょうか?

インターネットで検索すると「38度以上ならすぐに受診」「38度未満であっても3、4日微熱が続くようなら受診」「ぐったりしていたら熱に関わらず受診」など、いろいろ見つかります。

体温の上昇は受診するかどうかの判断基準のひとつではありますが、絶対基準ではありません。高齢者の場合、肺炎にかかっていても高熱は出ていないケースはよくあることです。

先週の出来事

金曜日午前に大きなプレゼンがあり、先週はその準備のためずっと深夜残業続きでした。プレゼンが終わって仕事が少し落ち着いたので、溜まっていた家事などをするために金曜日は会社を早退することにしました。

母はその日はお泊まりの予定だったので、帰ったら家でちょっとのんびりしようなどと思っていました。ところが、帰宅途中に、「母の具合が少し良くない」とデイから電話がかかってきました。

聞くと、母の症状はこんな感じでした。
体温37.4度で、Spo2は95。食欲はいつもの半分くらい。時々咳き込んだり、鼻水が出ている。

うーん、熱は少しあるけど、Spo2は(母にしては)低くない。
「1時間くらい様子を見て、また測ってみて連絡をください。もしその間に急激な変化があればすぐに連絡をください」と、いったん電話を切りました。

1時間後のバイタルは、体温37.5度、Spo2は94。ほとんど変化はありません。

体温は微熱程度あるけど、Spo2はそれほど低くない。このまま様子見でいいのかな。でも、夜中に急に熱が上がる可能性もないとは言えないな。

過去に何度も、なんとなく具合が悪そうな状態から急に高熱が出て肺炎や菌血症、脊椎炎で緊急入院したことがあります。

受診すべきか迷いました。
もう少し様子を見てもいいのか?熱が上がる(かもしれない)前に、早めに受診したほうがいいのか?

発熱しても受診しちゃダメって!?

受診を迷った理由は大きくふたつありました。ひとつは、熱は微熱程度で、Spo2はほぼ正常だったこと。もうひとつは、以前言われた、救急外来の医師の言葉でした。

菌血症で入院したとき、救急外来の検査では明確な病状が判明しなかったため、救急医に「発熱したくらいでいちいち救急外来に来られても困るんですよ」と言われたのです。
菌血症で緊急入院の記事

私が電話口で迷っていると、デイの職員さんが「お母様に電話を代わりましょうか」と言ってくれました。

電話越しの母はひどく鼻声で、私が「大丈夫?具合悪い?息苦しいとかある?」と聞くと「大丈夫よ」と気丈な返事でした。
その声を聞いたらいてもたってもいられなくなり、やっぱり病院に連れて行こうと、デイに迎えに行くことにしました。

デイに着いたとき、かかりつけ医の診察終了時間まで30分しかありませんでした。急いでタクシーを呼び、病院に「時間を少し過ぎてしまうかもしれないが見てもらえるか」連絡を入れました。
「他に患者さんがいなければ時間までしか医師はいない」と言われましたが、だめもとで病院へ向かいました。

診察時間を過ぎていたので検査はできず問診のみでしたが、診察してもらえました。おそらくただの風邪だろうという診断でした。肺炎を起こしていなくてひと安心です。

受診の判断基準は「直感」

肺炎のときは大抵急に熱が上がってそのまま入院ということが多いのですが、今回は肺炎ではありませんでした。
熱が出たら様子を見るべきか、すぐ受診するべきか、結局のところ、絶対の正解なんてないわけです。

診察

かかりつけ医に聞いてみました。
「これくらいの熱で来るかどうか迷ったんです。Spo2はそんなに低くないし、もう少し様子を見てもいいのかな、って。でもまた急に熱が上がって肺炎で入院ということになったら嫌だし。迷ったらどうすればいいんでしょう?」

するとこう言われました。
「迷うくらいなら、もっと早めに来てくださいね。この時間じゃ検査もできないし」

(この医師は親身に寄り添って診察してくれるかというと、可もなく不可もなくという感じで、なんでも気軽に相談できる雰囲気でもありません。心から信頼できるかかりつけ医がいないのが、悩みのひとつです。試しにいろいろと病院を変えてみたものの、これだ!という先生にいまだ出会えず、今は、家のすぐ近くにあるこの病院にかかっています)

その時は一瞬、「え、嫌味?」と思ったのですが、確かに先生の言うとおりです。

迷って受診せずに万が一あとで取り返しがつかないような大ごとになるくらいなら、近所のかかりつけ医に行った方が(自分の精神的にも)いいんだな、と思いました。「来ればいい」と言ってくれる医師に対し「嫌味?」と感じる自分が変なんだな、と反省しました。

バイタル数値も大切ですが、一番大切なのは、「いつもとなんだか様子が違う」という自分(私)の直感だと改めて思います。認知症の人は自分で症状をうまく伝えられないことも多いので、周囲がきちんと気づいてあげないと。

ななのひとこと・ふたこと

菌血症の救急外来の医師の言葉には、悔しくてはらわたが煮え繰り返る思いでしたが、ここで私がカッとなって診察に支障が出ても困ると思い、その時はぐっと我慢しました。
その後の精密検査で菌血症だとわかり、救急入院して正解だったとわかりました。

医師の適当な発言の言いなりになってはいけない、と強く思ったのに、それを引きずっていた自分に情けなくなりました。
これからはちゃんと自分の直感を大事にしよう。