親を介護施設に入れることに罪悪感を覚える必要はない

母の介護

在宅での介護を続けるのが難しいと思うのは、介護の負担が大きくなったときです。在宅介護の限界を感じて施設への入居を考える際に感じる葛藤についてまとめました。

施設入居を検討するタイミング

在宅介護をしている人の多くが、自宅での介護に限界を感じて、親を施設へ入れることを考え始めるときが来るかと思います。どのようなタイミングで施設入居を検討することが多いのでしょうか。

被介護者(介護を受ける人:親)の症状の変化や悪化

  • 食事やトイレなど日常生活の動作が自分でできなくなったとき
  • ひとりにしておくと危険だと感じるようになったとき
  • 認知症の症状が進行して、在宅介護を続けることに不安を感じたとき
  • 病院からの退院後、自宅での生活が難しいとき

介護者(介護する人:自分)自身の問題

精神的な辛さやストレスを感じたとき

介護をしていると、毎日の生活が介護中心になります。デイサービスや訪問介護などを利用していたとしても、自分の自由な時間を取りにくくなるのが実際のところだと思います。
私自身、先が見えない不安やこの先どうなるのだろうというストレスで、気持ちの余裕がなくなり、イライラすることが増えました。

疲れが回復しないとき

仕事と介護を両立しなければならない生活では、疲れが取れにくく、体調を崩してしまうこともあります。睡眠不足になると仕事にも支障が出ます。

介護者自身が病気やケガをしたとき

自分が体調を崩してしまったら、その間、介護をすることは難しくなります。
うちの場合、私が(短期間ですが)入院することになったのが、泊まりサービスを初めて利用するきっかけでした。

限界まで我慢しない

私は、デイサービスや訪問看護を利用してなんとか在宅介護を続けていました。でも、あるとき「常に介護のことで頭がいっぱい」「何もかもが面倒でやる気が起きない」「私はなんのために生きているんだろう」といった感情に押しつぶされそうになりました。軽い介護うつだったのではないかと思います。

身体的にも精神的にも追い込まれて自分自身がまいってしまっては、親の介護もできず共倒れになります。介護の限界を感じる前に、介護サービスの見直しや介護施設への入居を検討してみてください。

親を施設に入れていいのか思い悩む

とはいえ、親を施設に入れることに対して罪悪感を覚える人も少なくないと思います。

施設入居に罪悪感を覚えるのはなぜか?

「住み慣れた自宅で暮らしたい」「家族と一緒にいたい」「近所の人たちとの交友関係を失いたくない」など、理由を挙げればキリがありませんが、施設への入居を嫌がる高齢者は少なくありません。喜んで入居するという人の方が少ないでしょう。

だからこそ、親を施設入居させることに葛藤が生じるのと思います。「親の介護を他人に任せっぱなしにしていいのか」「本人の意思を無視したことになるのではないか」「親は嫌がるに違いない」「そんな選択を自分は後悔しないだろうか」と考えるのも、ある意味当然です。

親のことを思い悩む人ほど、罪悪感を抱きやすいともいえるのではないでしょうか。

施設入居は親のためでもある

施設入居という選択は、本人と家族のためであって、そのことで家族(自分)が罪悪感を覚える必要はないと思います。無理して在宅介護を続けることによって、介護者自身が心身ともに調子を崩してしまったり、介護疲れから親を虐待してしまったりする恐れだってあるわけです。

理想も大事だけれど、それが現実的に不可能なら、折り合いをつけて自分ができる中での最善を尽くすことが最も重要なことだと思うのです。そのときどきの自分の状況を検討した結果、施設入居を選ぶというのは、決して悪いことでも罪悪感を覚えることでもありません。

入居後も定期的に施設へ足を運び、元気な姿を見せてあげるほうがよっぽどいいはずです。在宅介護しなくなることで介護者自身にゆとりや余裕が生まれて、親に優しく接することができるようにもなるでしょう。

一度、施設に入居したからといって、そのままずっとそこに居続けなければいけないわけではありません。もし何か違うな、と思えば(大変かもしれないけど)在宅介護に戻してもいいし、別のところに移るという選択肢だってあるわけです。

介護者自身が納得することも大事

介護施設への入居は、親の気持ちを尊重することがとても大切です。できることなら、本人がある程度納得したうえで入居するほうがいいのは間違いありません。ただ、施設入居を喜んで受け入れる高齢者は多くはないというのも事実です。

その点について罪悪感やわだかまりを取り除くためには、介護者自身が納得することが大切になるでしょう。

自分が納得するために必要なのは、親の身体状況や病状への対応が安心できる、本人の価値観や生活スタイルに合った介護施設を見つけることです。在宅介護からの逃げ場所ではなく、親にとっての生活環境を考えた結果が施設入居だった、というのであれば、納得感を持てるのではないでしょうか。

体験入居やショートステイができる施設も多いので、気になる施設があれば、利用を検討してみましょう。

ななのひとこと・ふたこと

親だけでなく、自分が急に体調を崩すことだった起こり得ます。そうなった時に慌てないように、できれば、介護に限界を感じる前に探し始めることをお勧めします。早すぎることはありません。