永代供養を選ぶときの注意点は?チェックすべきポイントはこの8つ

制度・法律

永代供養(えいたいくよう)は、「お墓の継承者がいない」「子どもにお墓のことで負担をかけたくない」「お墓にまつわる負担を減らしたい」などの背景から、近年ニーズが増えている供養方法です。

しかし、気になってはいるものの、何を基準に選べばいいのかよく分からないという方も多いかと思います。そこで今回は、永代供養を検討する際にチェックすべきポイントを8つご紹介します。

アクセスのしやすさと周辺環境

まず第一に、寺院や霊園の場所や立地です。
管理を施設に任せられるとはいえ、遠い場所を選ぶとお墓参りの際に不便です。自宅から遠くない場所や交通アクセスがよい施設を選ぶことをおすすめします。

公共交通機関を利用した場合の所要時間と、路線や乗り換え回数、坂の有無なども考慮に入れましょう。

また、周辺環境も、施設選びの重要なポイントとなります。静かな環境がいいのか、賑わいのある環境がいいのかにもよりますが、近くに休憩や食事ができる店があるかなども確認してみましょう。周辺エリアのお店が充実していれば、お参りに行くのが楽しくなるかもしれません。

初期費用と維持費はいくらか

永代供養にかかる費用は、種類や管理方法によって大きな幅があります。総費用には何が含まれているのか、何が別料金になるのか、年間管理費の有無などを確認しましょう。

納骨堂の場合は基本的に年間管理費の支払いが必要になります。年単位での支払いが一般的ですが、生前に一括払いを受け付けているところもあります。一括払いだと割引になるところもありますが、30年50年など長期分を一括で前払いする場合は特に、経営状態などをしっかり確認したほうがよいでしょう。

将来新たに遺骨を納める必要が生じた場合、追加で費用が必要になるタイプもあります。また、お布施などは不要なケースが多いですが、なかには定期的な維持費やお布施を求められる寺院や霊園もあります。

あとで思わぬ出費が発生したとならないように、費用内訳や追加費用などについては事前に細かく確認しましょう。ローンや分割払いに対応してくれるのか、また、生前購入した場合、納骨前に年会費や管理費などを支払う必要があるのかなどについても、契約時に確認しておきましょう。

個別に納骨してもらえる年数は

個別に納骨してもらえる期間は必ずチェックしましょう。

永代供養では、供養のタイプによって、最初から合祀するものと、一定期間後に合祀するものがあります。一定期間後に合祀する場合の合祀までの期間は、それぞれの施設で独自に設定されています。17回忌、33回忌、50回忌などを区切りとするタイプが多いですが、合祀するまでの年数を選べたり、更新(延長)できる施設もあります。年数に応じて費用が変わります。

一度、合祀されてしまうと、遺骨は個別に取り出せなくなるため、その後もし改葬(お骨を移す)したいと思ってもできません。自分や親族の考えに合うかどうかを、よく検討しましょう。

どのようにお参りできるか

参拝スペースは、落ち着いて静かにお参りできる環境になっているか確認しましょう。プライバシー保護の配慮がなされているか、騒がしくて落ち着きのない雰囲気ではないか、空調設備や防犯、セキュリティ設備に不安はないか、といった点に気をつけてみましょう。

また、遺骨を目の前にして手を合わせることのできる施設もあれば、遺骨から離れた場所でしか参拝できない施設もあります。どのように参拝できるかは、しっかり確認しておきたいものです。

宗教や宗派による制限がないか

宗教や宗派による制限がないかも重要なポイントです。

ほとんどの施設では宗旨宗派を問われませんが、お寺によっては改宗を求められる場合があります。その寺院が属する宗派の檀家になることや、戒名をつけることが条件となることがあります。

特定の宗教を信仰していない場合でも、そもそも自分自身がその宗教に改宗してもよいのかを考えなくてはなりません。あとでトラブルにならないためにも、事前にチェックしておきましょう。

どのような供養をしてくれるか

ひとくちに「永代供養」といっても、供養方法や時期は、お寺や霊園によってさまざまな特色があります。

お寺の場合は、宗派に基づいて供養が行われます。特定の宗教や宗派にこだわりがあるのなら、寺院が運営する施設は避けなければなりません。

春と秋のお彼岸やお盆の時期はもちろんのこと、他にもいつどのような供養をしてくれるのかついても確認しておきましょう。毎朝お経をあげてくれる、毎月決められた日に合同法要をする、祥月命日(しょうつきめいにち)に追悼儀礼をすることなのかは施設によって異なります。自分がどこまでの供養をしてもらいたいのか、明確にしておくとよいでしょう。

祥月命日(しょうつきめいにち)とは

年に1度訪れる、故人があの世へ旅立ったのと同じ月日のことを「祥月命日(しょうつきめいにち)」と呼びます。

祥月命日は1年に1度だけですが、月命日は命日のある月を除いた毎月、つまり1年に11回訪れます。例えば、亡くなった日が12月1日の場合、祥月命日は毎年12月1日、月命日は12月1日を除く毎月1日です。

家族や親族の意向を確認する

まったく身寄りがない場合をのぞいて、永代供養を考えたらまず初めにすべきなのは、家族や親族などと「永代供養にしてもいいか」を話し合うことです。

まず、「お墓」についてどのような意向を持っているかを確認しましょう。永代供養について自分で調べたことについても説明し、もし反対する人がいる場合は落ち着いてその意見を聞き、じっくりと話し合うことが大切です。

安心して任せられる管理者かどうか

永代供養は、将来に渡って末永く供養をしてもらうことになります。そのため、供養を任せるお寺や運営者がどのような考え方を持って供養に取り組んでいるのか、施設を見学して管理者に話を聞いてみましょう。

基本的なことはインターネットや資料でもわかりますが、施設の管理人と実際に会って話を聞いて、何十年先も安心して任せられるかどうかを肌で感じることも大切です。

札幌の納骨堂が閉鎖に追い込まれたニュースも記憶に新しいところです。老朽化を見据えた修繕計画の有無や、施設を運営する企業の経営状態は安定しているのか、なども必ず確認しましょう。

ななのひとこと・ふたこと

永代供養は、あとを継ぐ人がいなくなっても、お寺や霊園などが遺骨をお守りしてくれるため、お墓に対する不安を軽減できます。ただし、長期にわたって大切なお骨を預けるため、選ぶ際には十分な検討が必要です。チェックポイントを抑えて、納得のいくお墓選びをしましょう。