実家を空き家のまま放置するとどんなリスクがある?

制度・法律

近年、社会問題になるほど空き家が増えています。「実家が遠い」「すでに自分の家がある」などの理由で、「将来、実家が空き家になるかも」「親から相続した実家が空き家になっている」という人も多いでしょう。

空き家のままでも特に問題はないと考えるかもしれませんが、空き家を放置するのはさまざまなリスクが伴います。

なぜ、空き家が増えているの?

「空き家」と聞いて一般的にイメージするのは「誰も住んでいない家」のことでしょう。ではどれくらいの期間、誰も住んでいないと空き家とされるのでしょうか?

空き家とは

売却や賃貸するため、あるいは別荘として保有しているなどで、誰も住んでいない期間がそれほど長くなければ、それは空き家とはいいません。

法律(空家法)では、「概ね年間を通してずっと利用されていない建物」を空き家と定義しています。つまり、1年以上放置したままにしておくと空き家とみなされる可能性があるということです。

誰も住んでいない建物は管理が不十分になりがちなので、周囲に悪影響を及ぼす可能性もあります。こうした空き家の増加は、近年大きな社会問題になっています。

空き家は増加し続けている

2018年10月に総務省が公表した「住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家の数は 848 万9千戸で、総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は 13.6%となっています。これは、調査が開始されて以来、過去最高の値です。

住宅・土地統計調査とは

住宅・土地統計調査は、「統計法」という法律に基づいて行われる統計調査で、昭和23年から5年ごとに行われています。

空き家になる理由

空き家になってしまう理由はさまざまです。

例えば、家の所有者が亡くなったり引っ越したりして、そのまま誰も住まなくなることがあります。

また、実家を相続した子どもが別の場所に住んでいたり、売ることをためらったり、将来的に自分が使うかもしれないと思って放置したりすることもあります。

結果として、使える家なのに空き家になってしまうのです。今は自分の実家が空き家ではなくても、親が一人で暮らしていたりすると、親が亡くなったり老人ホームに入ったりすることで、空き家になる可能性があります。

空き家にしておくデメリット・問題

空き家をそのままにしておくと、税金がかかるなどのデメリットがあります。しかし、所有している自分たちだけの問題ではなく、近隣にも大きな影響を与えてしまいます。

空き家でも税金がかかる

土地や建物などの不動産を所有していると、固定資産税と都市計画税がかかります。
これは「空き家」も例外ではありません。住んでいる人の有無に関係なく、誰かに売却したりしない限りは、ずっとかかり続けます。

メモ
  • 固定資産税とは:毎年1月1日時点で不動産を所有している人に対してかかる税金。原則としてすべての土地や建物が対象となります。
  • 都市計画税とは:都市計画法による市街化区域内に土地や建物を所有している人に対してかかる税金。
「住宅」なら税金が安くなる

固定資産税と都市計画税には、税金が安くなる特例制度があります。ただし、特例を受けるためには「住宅が建っていること」が必須条件です。空き家であっても(誰も住んでいなくても)、この特例を受けられます。

空き家の管理・維持費用もかかる

空き家にかかる費用は、税金だけではありません。住宅は放置しておくと急速に劣化が進むので、空き家を管理・維持するための費用も必要です。

管理・維持するための費用として主なものは、電気、ガス、水道などの料金、建物の破損や倒壊を防ぐための修繕費用が挙げられます。

そのほかにも、火災保険料や庭の除草費用、町内会費、空き家へ通う際の交通費なども、場合によっては必要になるでしょう。

近隣住民に迷惑をかける

「そのうちどうにかしよう」と思って放置していると、近隣に迷惑をかけることになってしまいます。

適切な管理がされない空き家は、雑草が生い茂り、ごみの不法投棄や悪臭、ねずみや野良猫が繁殖するなど、周辺住民の生活環境に深刻な影響を及ぼします。また、不審者の出入り、不審火や放火など地域の防犯性が低下するとの指摘もあります。

建物の倒壊などの危険が生じる恐れもあるでしょう。建物の倒壊や火災などによって通行人や近隣住民に損害を与えてしまった場合、損害賠償責任を問われる可能性があります。

空き家に関する税金

空き家を所有している場合にかかる税金について、留意点があります。

空き家を解体しないほうが税金は安い

先ほどお伝えしたように、誰も住んでいなくても(空き家であっても)、そこに住宅が建っていれば、固定資産税と都市計画税が安くなる特例を使えます。

これは裏を返すと、空き家を解体して更地にすると、特例は使えなくなってしまう(=税金が高くなる)ということになります。つまり、空き家を解体すると解体の工事費用がかかるだけでなく、税金の負担が増えることにも繋がるというわけです。

たとえ誰も住んでいなくても、建物を残したままのほうが税制的には有利な仕組みが、空き家が取り壊されることなく放置されている現状に拍車をかけているといえるでしょう。

「特定空き家」に指定されると特例が使えない

税金を安くするために取り壊さず放置される空き家が年々増加し、社会問題となっています。

そこで、2015年(平成27年)に「空き家法」という法律ができました。この法律により、管理が不十分とみなされた空き家は「特定空き家」に指定され、税金の特例を受けられなくなりました。

空き家法の正式名称

「空家等対策の推進に関する特別措置法」(通称:空家等対策特別措置法)

特定空き家に指定されて特例が受けられなくなると、固定資産税は最大6倍、都市計画税は最大3倍になる可能性があります。税金の負担を増やさないためには、特定空き家に指定されないように管理が必要です。

特定空き家とは

空き家法の「特定空き家」とは、「倒壊する危険や近隣に迷惑をかける恐れがあり、放置すべきではないと自治体が判断した空き家」です。

特定空き家に指定されると、特例の対象から外されて税負担が大幅に増えるだけでなく、最悪の場合、空き家を強制的に解体されることもあります。解体費用は後日全額請求されます。

ななのひとこと・ふたこと

実家として思い入れがあると、空き家のまま残しておきたいと思うのも当然ですよね。とはいえ、あまりにも遠いと、手間や費用などを考えて、空き家のままにしておくのは現実的ではないと判断せざるを得ないケースもあるでしょうし・・・。実家問題は悩ましいですね。