書評 |「がんばりすぎずにしれっと認知症介護」するためのヒントがギュッと詰まってます

しれっと認知症介護 書評

工藤広伸(くどひろ)さんの「がんばりすぎずにしれっと認知症介護」を読みました。

しれっと認知症介護

遠距離介護ブロガーくどひろさんの3冊目の本です。
良いと思ったこと・ものは積極的に取り入れるくどひろさんなので、新しい情報も載っていますが、前の2冊とかぶる部分もあります。
でもそれは手抜きとかページ数をかせいでいるとかではなく、大事なことや本質的なことは普遍だからです。認知症介護を「しれっと」やるための鉄則とも言えます。

「しれっと」認知症介護の鉄則

例えばこんなことが書かれています。

「できないことが増えていく認知症の人を、ほめてその気にさせて生きがいを失わないようにすることも、介護する人の役割のひとつ」

「世話を受け続けることは心理的な負担になる」から、「小さなお仕事」を作って、認知症の人の負担を軽くする

『小さな「ありがとう」を繰り返す』

シーツ交換のために横を向いてもらったときやお薬を飲んでくれたとき。
どちらも本来は要介護者自身のためです。でも、それを「こちらが依頼したことをやってくれた」と捉えて「ありがとう」と感謝する。
些細なことであっても、何かしてもらったときは「ありがとう」と言う。

小さな「お仕事」と小さな「ありがとう」

私もこうしたことを心がけています。
例えば、こんなときです。

トイレ介助の際

リハパンを取り替えるために片足をあげてもらったときや立ち上がってもらったとき。
(リハビリパンツは紙なので、横を破って脱がせてしまうこともできますが、なるべく片足ずつ足を抜いて脱いでもらうようにしています)
「足上げてくれる?」「ありがとう」
「パンツ上げるから、立ち上がれる?」「ありがとう」

食事の準備

キッチンから食卓へお箸やお茶碗を運んでもらったとき。
食事の支度ができたら、母にお箸やお茶碗、小鉢などを食卓まで運んでもらうようにしています。
「これ、テーブルまで運んでくれる?」「ありがとう」
汁物や重いものを母が運ぶのは危ないので私が運びますが、母ができることはなるべくしてもらうようにしています。

私がやった方が早いとしても、母に役割をもって何かをしてもらうのは大事だと思います。

イラストにほっこり癒される

本文の中にところどころ挿し絵があります。このイラストがほのぼのとしたタッチですごくいいんですよね。

表紙は、お花が咲きほこる道を、くどひろさん(と思われる男性)がお母さまの手を取って微笑んでいるイラストが描かれています。
手を繋ぐとか腕を組んで歩くとか、これこそまさにユマニチュードではないでしょうか。

しれっと認知症介護

息子が母親の手を取って歩くのって、男性だと恥ずかしがってなかなか難しいことなんじゃないかと思います。でも「足の弱いお母さまとは、手とつないで出かける」と、くどひろさんはご自身のブログでもたしか書かれていたと思うので、この表紙のイラストは、まさにくどひろさんの日常なんだろうなと思います。

なななひとこと・ふたこと

内容が前2冊とかぶるといっても、違った切り口で書かれていたり、以前よりさらに分かりやすくなったように感じました。
私のようなくどひろさんファンなら3冊とも買ってもいいのかもしれませんが、もしどれか1冊だけこれから買うとしたら、この最新刊がおススメです。