認知症の母への接し方で心がけている2大鉄則とは?

母の介護

アルツハイマー型認知症の母への接し方で心がけている2大鉄則があります。

「言うこと」や「やること」を否定しない、怒らない
目を見て話す・驚かせないようにボディタッチする

認知症の人は相手の態度に敏感に反応します。だから、どのように接するかはとても重要です。接し方によって、介護する側の負担は大きく変わります。
そして何より、認知症の人をむやみに怒ると本人がかわいそうです 。一見、不可解な言動も、認知症という病気がそうさせているのであって、本人に悪気はありません。

「言うこと」「やること」を否定しない

「言うこと」や「やること」を否定しないというのはとても重要です。
でも、初期の頃はなかなかこれができませんでした。
どう接すればいいかわからず、「正しいこと」や「して欲しいこと」を理論的に説明したりしていましたが、認知症の人にそれを求めてはいけません。

例えば、高齢になるとトイレが近くなります。多いときは10分に一回くらいのペースで行きます。
そんなとき、「またトイレ!?さっきも行ったよね!?」とつい言ってしまいがちです。
すると母は「なんか文句あるの!?トイレくらい自由に行かせてよ!」と怒りだします。

目を見て話す・驚かせないようにボディタッチする

後ろから急に話しかけられたら、誰でもびっくりしますよね?
認知症の人ならなおさらです。周囲に注意を払うのが難しくなるので、急に話しかけられたり、ふいに体に触れられたりすると、とても驚いてしまいます。ときには恐怖感さえ感じてしまいます。
だから後ろから急に話しかけない・いきなり腕をとったり、体を触ったりしないようにしましょう。

話しかけるときは、まず視界に入るところまで近づいて、目を見て話すと安心してくれます。
ユマニチュードの考え方ではスキンシップもとても大切だとされています。ですから、私も意識して普段から母の手をとって握ったりしています。
そのときも、いきなり手をとるとびっくりしてしまうので、体に触れるときは、目を見て話しながら触れるようにしています。

自分が変わったら、母も変わった

母にどのように接すればよいのか分かって、そして、それを実践できるようになって、母は以前のように穏やかになりました。

先ほどのトイレの例でいうと、「また行くの!?」ではなく、「大丈夫?お腹痛いの?」と言えるようになりました。
「トイレに頻繁に行く」という行動を否定するのではなく、体調を心配できるようになりました。

これは一例ですが、こうして母の「言うこと」や「やること」を受け入れられるようになってから、母との関係性は大きく改善されました。
もともとわりと仲のよい母娘でしたから、改善というよりは以前のように戻った、という方が正しいかもしれません。

自分に余裕がないと、ついイラッとしてしまう

接し方がわかった今でも、2大鉄則を守れないときがあります。
仕事が忙しいとか、やることが溜まっていて焦っているとき、または自分が体調を崩したときなど、自分に余裕がないときです。

介護が始まってから、なるべく残業は少なくして、早めに家に帰るようにしています。
それでも、会社員ですから、どうしても残業しなければならないこともあります。
ここ一カ月ほど、最近の私としては珍しく残業が多く、ときには深夜残業もしています。
業務内容が変わり、慣れない新しい仕事をこなすために、時間的にも精神的にも余裕がありません。
そんなときは、母に対しても、ついイライラした口調になってしまいます。

イライラして、母に八つ当たり

例えば先週こんなことがありました。
疲れて家に帰ると、朝使った食器が流しにありません。ときどき洗ってくれているので、「あ、また洗ってくれたんだな」と思って食器カゴを見ても、食器はありません。
もしかして。。。と思い、食器棚を見ると、食器がありました。洗って濡れたままの食器をそのまま棚にしまっていたのです。

「なんで濡れたまましまっちゃうの!?だめだよ!!(怒)」

言っちゃダメだとわかっているのに、勢いにまかせて言ってしまいました。
八つ当たりといってもいいでしょう。自分に余裕がないせいで、普段ならさらっと流せる(ようになった)ことにも、ついカチンときてしまいます。

そんなときの母は悲しそうに、大抵決まってこう言います。
「あなたと一緒には暮らしたくない」「老人ホームに入りたい」

「あー、やっちゃった。。。」怒った瞬間から自分に対して大・大・大後悔です。心の中では「ごめんね」と思っていても、口に出して言えません。

忙しいときでも精神的な余裕を持てるようになりたい

2大鉄則の効果は絶大です。裏を返すと、それを守れないときの悪影響もてきめんに現れます。
悪いことしたな、とすぐに必ず後悔するのに、勢いにまかせて怒っちゃう自分はまだまだですね。

忙しいときに精神的な余裕がなくなるのは当然です。そんなときでもイライラせずに2大鉄則を実践できるように、少しずつでも意識していこうと思います。
結局、介護者である自分に返ってくるし、母の悲しそうな顔を見たくはありませんから。

2017/8/13追記:
きらっこノートさんでこの記事をご紹介いただきました!