入浴拒否には理由がある。「お風呂に入りたくない」という言葉の裏にひそむ気持ちを考えてみよう。

母の介護

家でシャワーを浴びるのは何年ぶり?

先日、夜中0時半頃のことです。いつものように母が起きてきました。
母はだいたい夜9時頃に寝ることが多く、夜中に数回トイレに起きるのです。
またトイレかな?と思っていたら、驚くような発言が飛び出しました。

「汗かいたからシャワー浴びたい。」

えぇぇぇぇーーー!?

私「今、深夜だから朝起きてからにする?」
母「ううん、今、浴びたいわ。」

驚きました。母は認知症になってから家でお風呂(シャワー)に入るのをずっと嫌がっていたからです。
はじめはお風呂に入るように言っていたのですが、いくら言っても入りません。
そのうち、「デイで週3回くらいお風呂にいれてもらっているから、家ではまぁいいか。」と諦めることにしました。

母からシャワーを浴びたいと言い出すなんて、こんなチャンスはめったにありません。夜中だけど浴びることにしました。
家でシャワーを浴びるのはおそらく4年ぶりくらいです。
背中と髪の毛を洗ってあげましたが、あとは自分できちんと洗っていました。

お風呂に入りたがらない認知症高齢者は多い

お風呂に入りたがらない認知症高齢者は多いらしいです。
母もそうです。
今でこそデイでは週に3回ほど入っていますが、デイに慣れないうちは入るのを嫌がっていました。
家では全く入りません。入りたがらない理由を聞くと、「お風呂場が寒いから。」と言います。夏なら寒くないし、冬でも浴室暖房を付ければ寒くないはずなのに、と思います。

お風呂に入りたがらない理由はいろいろ

面倒くさい
寒い
滑って転んだりしたら怖い
もし何かあっても、裸だし、体じゅうびしょびしょで、すぐに逃げられない

見当識障害(自分の置かれている状況がわからなくなること。認知症の中核症状のひとつ)のために、こんな不安もあります。
お風呂場で何をすればいいのか分からない
体や頭をどうやって洗えばいいか分からない(どうやってシャワーを出すのか、シャンプーはどうやってポンプから出すのかなど)

じゃあ、どうすればいいの?

お風呂に入る行為そのものが嫌なのではなく、お風呂にまつわる不安や恐怖心が、入浴を拒否する要因だといえます。

無理強いしてお風呂に入らせようとしないこと
不安や恐怖心を取り除いてあげること、が重要です。

どんな不安を感じているのか?どうすれば安心して入ってもらえるか?を、本人の気持ちに立って考えてみましょう。

安心できれば入浴を嫌がらなくなります

家でお風呂に入るときの不安に加えて、デイでの入浴は次のような不安や戸惑いが生じます。
恥ずかしさは何歳になっても同じです。他人に裸を見られることに抵抗を感じることも。
なにをされるのか分からない不安や恐怖心もあります。
介護スタッフの慌ただしそうな様子に戸惑うこともあるでしょう。

はじめは嫌がっていたデイでの入浴ですが、デイ自体に慣れたら、自然とお風呂にも入るようになりました。スタッフの人に対する信頼感や安心感を感じるようになったからだと思います。

ななのひとこと・ふたこと

お風呂に入ることは、プライベートでデリケートな行為です。それは認知症であってもなくても、です。
自分ならどう感じるかを考えてみると、いいと思います。