要介護度ってなに?介護度が変わるとなにが違うの?

制度・法律

介護保険サービスを利用するためには要介護認定を受ける必要があります。要介護認定とは、介護が必要な状態かどうか審査を受け、「要介護度」を認定してもらうことです。

今回は「要介護度」とは一体どんなものなのかをお伝えします。

「要介護度」とは

要介護度とは、日常生活の中でどの程度の介護(介助)を必要とするかを表す指標です。介護保険の介護認定審査を受けると判定されます。

要介護度は7段階に分かれる

要介護度は、大きく分けて「要支援」と「要介護」に2段階の区分があり、さらに細かく分けて「要支援1~2」「要介護1~5」の合計7段階に分類されます。

介護の必要度が高いほど要介護度の区分も高くなります。最も介護度が軽いのは「要支援1」、最も重いのは「要介護5」となります。要介護度に応じて受けられるサービスや料金が変わるのが特徴です。

支援や介護を必要とせず健康な状態とみなされた人は、どの要介護区分にも属さないためこの7段階には入らず、「自立(非該当)」と認定されます。

「自立(非該当)」とは

介護認定審査の結果、「まだ介護保険によるサービスは必要ない」と判定された人は「自立(非該当)」となります。

自立とは、自分で日常生活を送ることができ、介護サービスなどの支援が必要のない状態をいいます。

自立と認定されると、介護保険サービスは利用できません。ただし、今後の予防のために各自治体が行っている介護予防事業サービスを利用できることがあります。どんなサービスを受けられるかは自治体によって違うので、「自立」と認定された場合はお住まいの自治体に問い合わせてみましょう。

「要支援」とは

要支援とは、家事や日常生活に部分的な支援が必要な状態をいい、その度合いに応じて「要支援1」と「要支援2」の2段階に分けられます。要支援1よりも要支援2のほうが、「介護度としては重い」という判定になります。

要支援では、主に生活習慣の見直しや運動などによって要介護状態になることを予防するための介護サービスを受けられます。住み慣れた環境で、継続して生活するための在宅サービスが中心となります。

地域包括支援センターで作成してもらう介護予防ケアプランをもとに、サービスを利用します。介護が主ではないため、介護予防を重視してケアプランが作成されます。

「要介護」とは

要介護とは、入浴、排泄、食事などの日常生活上の動作を自分で行うことが困難で、何らかの介護を要する状態をいいます。身体の衰弱だけでなく思考力や理解力でも低下がみられます。

「要介護1」から「要介護5」までの5段階があり、数が大きくなるほど介護度は重く、より介護が必要だという判定になります。要介護の認定を受けると、介護保険の介護サービスを利用できます。

要支援と要介護の違い

要支援・要介護の違いは、基本的に自分で生活ができるか、生活全般で介護(介助)が必要かどうかです。思考力や理解力など認知機能の低下がみられると、基本的には要介護となります。ただし、日にちを忘れるなど軽い症状であれば要支援と判断されるケースもあります。

メモ:ケアプランの作成は誰がする?

要支援の場合:地域包括支援センター
要介護の場合:ケアマネージャー
ただし、要支援・要介護とも、自分でケアプランを作成することもできます。

1年後に要介護度はどれくらい変わるの?

厚生労働省の資料によると、2021年4月から2022年3月の間で、1年間継続して介護予防サービスまたは介護サービスを受けた人は、約394万人います。

以下は、要支援または要介護と認定を受けた人が、1年後に同じ区分のままでいる割合はどれくらいなのかを表したグラフです。

要介護(要支援)状態区分別にみた年間継続受給者数の変化別割合

画像:厚生労働省ホームページより

2021年4月と2022年3月で比較すると、要介護(要支援)状態区分の変化がない「維持」の割合が、「要支援1」~「要介護4」でおよそ8割、「要介護5」でおよそ9割となっています。要介護度は1年で急に変化することは少ないと見てとれます。

認定の結果によって受けられるサービスが変わる

在宅で介護をする場合、要介護度が重くなれば重くなるほど、家族の介護負担も増えます。介護保険のサービスを上手に利用して負担をなるべく減らすようにしましょう。

認定をもらうには審査を受ける必要がある

要支援または要介護に認定されていなければ、介護保険のサービスを利用できません。認定されるためには、自治体と介護認定審査会の審査を受ける必要があります。
要支援または要介護の認定を受けると、介護保険が適用され、介護保険サービスを利用する際に、自己負担額が1割(所得により2割~3割)となります。

要支援と要介護では利用できるサービスが異なる

要支援と要介護では、それぞれ利用できるサービスの内容や範囲が異なります。

要支援では、介護になる状態を予防することを目的とした介護予防サービスを利用できます。

要介護は、介護を受けながら、状態の改善も目指しつつ、さらには状態が悪化しないように介護サービスを利用します。

なお、要介護度が上がるにつれて利用できるサービスは多くなりますが、利用料金の単価も高くなっていきます。

介護保険サービスは要介護度に応じてそれぞれ利用限度額が設定されています。限度額を越えて介護サービスを利用した場合、限度額を越えた分は全額自己負担となってしまうので、注意しましょう。

ななのひとこと・ふたこと

母が初めて介護認定を受けたときは要介護1でした。要支援ではないかと勝手に思い込んでいたので、ちょっと驚いたのと軽いショックを受けたことを覚えています。

要介護度がどれに当てはまるのかは自分で判断できません。また、介護保険サービスを受けたいと思っても要介護認定を受けていなければサービスを受けられません。逆に、認定を受けたからといって必ず介護サービスを受けなければいけないわけではありません。

親の介護に不安を感じたら、要支援・要介護認定の審査を受けることを検討してみてもいいんじゃないかと思います。