日本の総人口に占める65歳以上の高齢者の割合は、2021年10月現在28.9%になっています。これは世界で最も高い水準です。このような社会が続くと、今後どんな問題が起こりうるのでしょうか。
高齢化を表す3つの言葉
高齢化の進行度合を表す言葉として、「高齢化社会」「高齢社会」「超高齢社会」という3つがあります。似たような言葉で混同しやすいのですが、全人口に占める高齢者の人口の割合により区別されます。
高齢化社会とは
高齢化社会とは、65歳以上の人口の割合が「全人口の7%」を超えた社会をいいます。
これは、1956年(昭和31年)の国連の報告書において、65歳以上を高齢者と定義付けて、7%以上を「高齢化した」人口と呼んだことが由来とされています。
日本では、1970年に高齢化率が7.1%となり、高齢化社会へと突入しました。
高齢社会とは
「高齢化社会」から「化」を抜いた「高齢社会」は、65歳以上の人口の割合が「全人口の14%」を超えた社会をいいます。14%というのは、高齢化社会の7%を2倍にした数字です。
日本では、1995年に高齢化率が14.6%となり、高齢社会に突入しています。
超高齢社会とは
高齢社会が進行し、65歳以上の人口の割合が「全人口の21%」を超えた社会を「超高齢社会」といいます。21%というのは、高齢化社会の7%を3倍にした数字です。
日本では、2010年に高齢化率が23%となり、超高齢社会を迎えました。
日本の高齢化の動向
日本は諸外国と比較してもその高齢化率は突出しています。
日本の高齢化の現状と今後の予測
日本は、1970年に初めて高齢化社会(=全人口の7%超が65歳以上)に突入しました。その後も高齢化率は上昇し続けており、2021年10月1日現在の高齢化率は28.9%です。
この上昇は今後も続くと予測されており、2025年には30%、2040年には35.3%に達すると見られています。
諸外国との比較
国全体の高齢化率は、発展途上国よりも先進国のほうが高くなる傾向があります。高齢化率が高い国としては、ドイツ、フランス、スウェーデン、イギリス、アメリカなどが挙げられます。しかし、高齢化率2位のドイツが21.7%であるのに対し、日本の高齢化率は28.6%(いずれも2020年現在)と突出しています。
先進諸国の高齢化率を比較すると、日本は1980年代までは下位、1990年代はほぼ中位でしたが、2005年には最も高い水準となりました。
日本は超高齢社会が続いており、今後も高齢化が進行すると見込まれています。
超高齢社会が続くとどうなる?これから起こりうる課題
超高齢社会の日本では、少子化や人口減少などにより、さまざまな影響が懸念されています。それが「2025年問題」と「2040年問題」です。
2025年問題とは
2025年には「団塊の世代」が75歳以上になり、国民の約5人に1人が後期高齢者となります。一方で少子化は止まらず、少子高齢化の進んだ社会が経済や社会に大きな影響を与えることを「2025年問題」といいます。
日本の人口は2010年を境に減少に転じました。若者が減って高齢者が増えるということは、労働力人口が減少することを意味します。
2025年問題が社会に与える影響として、主に以下の3つが挙げられます。
医療費や介護費の増大
医療費や介護費の増大です。高齢者が増えるということは、医療・介護を必要とする人口の増加につながります。
現役世代の社会保険料の負担の増大
社会保障(医療・介護、年金など)を受ける層の人口が増え、社会保険料を負担する側の労働人口が減っていることから、今後も現役世代が負担する社会保険料の増大が続くことが懸念されます。
慢性的な人材不足
医療・介護業界では、すでに人材不足が課題になってきています。
内閣府が公表している令和4年版高齢社会白書によると、2025年には75歳以上の後期高齢者は2,180万人、65~74歳の前期高齢者は1,497万人に達すると予測されています。国民の約3人に1人が65歳以上、約5人に1人が75歳以上となる計算です。
2040年問題とは
2040年問題も待ち構えています。
2040年問題とは、少子化による急速な人口減少と高齢者人口がピークに達することで、日本が2040年に顕著に表面化するさまざまな社会問題のことをいいます。
2025年は、超高齢社会の過渡期にすぎません。高齢者人口はその後も増加の一途をたどり、2040年にピークを迎えると予測されているため、少ない若者で多くの高齢者を支える社会構造が加速します。
2025年問題と同じく、医療や介護の負担増加や労働力不足が懸念される点は共通していますが、その深刻さと社会に及ぼす影響はさらに大きくなります。特に、若者が高齢者を支える現行の社会保障制度は、このままでは崩壊の危機に瀕すると予測されています。
ななのひとこと・ふたこと
先日、2022年の合計特殊出生率が1.26だったと発表されました。これは、7年連続の低下で、2005年に並ぶ過去最低の水準だそうです。
政府は少子化対策を推し進めようとしてはいるものの、簡単な問題ではないですね・・・。