みずほ情報総研研究所が今年3月に公表した「介護と仕事の両立を実現するための効果的な在宅サービスのケアの体制(介護サービスモデル)に関する調査研究 報告書」を読んでみました。
調査結果のPDFはこちら(150ページあります)
調査の概要
正社員として働きながら在宅介護をしている(またはしていた)40〜59歳を対象に行われたアンケート調査の結果がまとめられています。
対象は、「現在も就業中」「介護のために転職」「介護離職した」3パターンの介護者で、それぞれのパターンで1,000人(合計3,000人)の回答結果となっています。
総数150ページにわたる報告書です。いくつか抜粋してみます。
注:(カッコ)内は「現在も就業中の介護者」の回答比率です。
介護制度に望むこと(Q30)
- 働く家族介護者の負担を軽減する施策(25.6%)
- 急な残業や出張時に予約なしに使えるショートステイ(21.1%)
- ホームヘルプを24時間随時対応できるように要件を緩和してほしい(19.3%)
- ケアマネージャーを変更しなくても小規模多機能型居宅介護を利用できるとよい(19.2%)
- 急な残業や出張時に予約なしに使えるデイサービス(19.0%)
- 介護保険の契約、手続きを簡素化してほしい(18.9%)
- 急な残業時や出張時はケアプランに組み込まれていないサービスも使えるようにしてほしい(18.8%)
回答で一番多かったのが「働く家族介護者の負担を軽減する施策」。
介護保険は基本的に要介護者のためのものであって、介護者をケアするための制度ではないんですよね。でも介護者が倒れてしまっては、そもそも介護ができなくなってしまいます。だからこそ、介護者をケアするしくみや制度が必要だと思います。
企業に望むこと(Q31)
- 柔軟な働き方の導入(35.0%)
- 介護休業の利用の仕方を説明してほしい(22.4%)
- 自社の介護支援制度を整備してほしい(21.5%)
- 介護保険制度の説明をしてほしい(19.5%)
- 残業の削減(19.2%)
- 自社の介護支援制度を社員に周知してほしい(16.2%)
フレックスや時短勤務、裁量労働、在宅勤務など、多様な働き方ができるようになれば、介護と仕事の両立はしやすくなります。在宅介護を推し進めるからには、こうした制度の充実が不可欠です。
介護にかかる負担として感じること(いくつでも)(Q34)
- 介護の疲労が蓄積していく(38.6%)
- 医療・介護制度が複雑で利用に手間がかかること(33.5%)
- 医療・介護制度ではサービスが不足して家族が対応しなければならない(27.5%)
- 常に要介護者のことを気にかけていて気が休まらない(25.9%)
- 自分の時間が持てない(23.9%)
- いつまで介護が続くのか先が見えず自分の将来設計ができない(21.6%)
- 重度化して介護負担が増えるのではないかと不安(19.5%)
同じようにみんな悩んでいるんだなあ、と感じます。
介護をして良かったと感じること(いくつでも)(Q35)
- 自分の老後について考えるきっかけになった(33.3%)
- 要介護者や親などに恩返しをできていると感じる(25.9%)
- 医療、介護、福祉について知識が増え、理解が深まった(22.0%)
- 家族の会話が増えた(21.1%)
介護肯定感があると、介護に張り合いが出ます。
介護と仕事を両立するうえであると良いもの(いくつでも)(Q37)
- 情報通信機器を使った在宅の高齢者の安全を見守るシステム(37.8%)
- 情報通信機器を使った在宅の高齢者の健康管理システム(31.4%)
- 介護者の身体的負担を軽減する介護ロボット(28.8%)
- 情報通信機器を活用した認知症の徘徊高齢者の探索システム(23.5%)
- 情報通信機器の遠隔操作で家族が家電製品の操作をできること(19.7%)
- 情報通信機器の遠隔操作で家族が家の施錠をできること(18.2%)
- 高齢者の話し相手などをする介護ロボット(18.2%)
うちはスマカメというネットワークカメラで、母の様子を見守っています。スマカメで母の姿を確認できることで安心感がまったく違います。
こうした情報機器の需要は今後ますます増えていくはずです。より便利で誰もが使いやすい機器が増えるといいなと思います。
ななのひとこと・ふたこと
状況は人それぞれ違うけれど、みんな介護と仕事の両立に悩んでいるんだなあ、と改めて感じました。
私は、介護肯定感を感じつつも、介護に対する不安や悩みは今も消えたわけではありません。
介護うつは脱したものの、気持ちの波(浮き沈み)はあるので、なんにもやる気が起きないときもしょっちゅうあります。
そんなときは、無理に気持ちを切り替えようとしてもつらいだけなので、深く考えすぎないようにしてます。