認知症の人が受ける入院中の身体拘束について考える

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認知症の人が入院した場合、「治療に支障が出るから」などの理由で、身体拘束される現実があります。

身体拘束というと、ベッドに体を縛り付けたりして行動を制限するのが最もイメージしやすいですが、実はそれ以外にも身体拘束に該当する行為があります。いわゆるスリーロックと呼ばれる3つの拘束です。

身体拘束のスリーロックとは

フィジカルロック

物理的に行動を制限すること。(フィジカルphysical=身体の)

具体例

  • 紐や抑制帯で手や体をベッドに固定する
  • ミトンをつけて点滴などを外せないようにする、看護師などに暴力をふるうのを防ぐ
  • つなぎ服を着せて、脱衣やおむつはずしを制限する
  • 自分で降りられないように、ベッドを柵(サイドレール)で囲む
  • 車いすやいすからずり落ちたり、立ち上がったりしないように、Y字型拘束帯や腰ベルトなどをつける

スピーチロック

言葉で行動を制限すること。

具体例

「ここから出ちゃダメ」「ずっとここに座ってて」など直接的な制限の言葉のほか、「なんでそんなことをするの?」「なんで同じこと何回も言わせるの?なんでわからないの?」などの言葉もスピーチロックです。

ドラッグロック

薬で行動を制限すること。

具体例

  • 行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる
  • 夜間徘徊や騒いだりしないよう、睡眠薬や安定剤を飲ませて行動を抑制する

入院中の母の身体拘束

入院中の母は、治療のため、毎日点滴で抗生剤投与されています。食事のとき以外は常にミトンを付けさせられています。
また、ベッドから落ちないように、常時、抑制帯で体をベッドに固定されています。車椅子に乗るときはY字型拘束帯で車椅子に固定されています。

患者の安全を守るためだけではなく、管理しやすい(手間がかからない)から拘束されている気がしてなりません。

身体拘束

そんな姿を見ているだけで不憫になるし、そもそも本人はつらいはずです。「認知症だからどうせわからない」なんてことは絶対にありません。身体拘束は人としての尊厳を傷つけ、身体能力の低下も引き起こします。

家族がいるときはミトンや拘束帯を外してもらえます。だから、なるべく頻繁に病院に行くようにしています。
ずっとそんなもので拘束されて蒸れるのか、外すと「かゆい」と言って、手やお腹などをずっと掻いています。かゆみ止めを塗ってあげても治まらないようで、「ここには虫がいるのかしら?」と聞かれると、とてもいたたまれない気持ちになります。(かゆいのは虫にさされたから?と思っている)

これらはフィジカルロックの典型です。

身体拘束に関する同意書

入院する際に、「身体拘束に関する同意書」にサイン(署名)を求められました。
拘束を行う理由は、「円滑に治療を行うため」「患者本人の安全を確保するため」です。

サインしない(同意しない)という選択肢はありえません。サインしなければ、「入院を受け付けてもらえない=治療を受けられない」からです。
もしくは家族が24時間つきっきりで患者をみていれば拘束はしなくてもいいのかもしれません。でもそれは現実的には不可能です。

身体拘束に該当するのかの線引き

フィジカルロックはどんな行為が拘束にあたるのかイメージしやすく、定義も明確化しやすいです。(厚生労働省「身体拘束ゼロへの手引き」が参考になります。)でも、スピーチロックやドラッグロックは定義が曖昧で、どういった場合に身体拘束にあたるのかの線引きがとても難しいです。

「◯◯しちゃダメだよ!」なんて、私も以前は普通に使っていました。(認知症の人の言動を否定してはいけないとわかった今では、そんな言葉は極力使わずにいられるようになりました。)

スピーチロックとドラッグロックについても思うことはいろいろあるので、また別の機会に書こうと思います。

ななのひとこと・ふたこと

母は今、6人部屋に入院しています。仕事帰りに病院に行った際、同じ部屋のある患者さんと看護師さんとのやり取りが悲しい内容でした。

患者「トイレに行きたいから連れて行ってください。」
看護師「今、人手が足りないから連れて行かれないのよ。オムツをつけているから、そこ(紙オムツ)におしっこしてね。」

夜間で看護師さんの人数が少ない事情はわかります。でもこれって明らかなスピーチロックです。私がいないときは、きっと母もこうした対応を受けているのでしょう。
「管理しやすいから」といった理由で身体拘束が行われている現実と、それをどうしようもできない自分に苛立ちともどかしさを感じます。

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