インターネットでバーチャルお墓参り|メタバース霊園ってなに?

制度・法律

近年、後を継ぐ人がいない、維持が難しい、遠くて行けないなどの理由により、お墓にまつわる悩みを抱える人が増えています。
こうした悩みを解消できる「かもしれない」方法のひとつがメタバース霊園です。
メタバース霊園とは何か、どんな可能性を秘めているのかなどをまとめました。

メタバース霊園は新しい供養のかたち

インターネット上の仮想空間「メタバース」の技術を使った供養サービス「ネット霊園 風の霊」が2021年11月にリリースされ、当時話題になりました(現在、新規募集は停止されています)。

メタバース霊園とは

メタバース霊園とは、その名の通りメタバース上に霊園を作り、オンラインでお墓参りや法事などを行えるサービスのことをいいます。

仮想空間であるメタバース上に霊園があるため、自宅のみならず海外などの遠隔地であっても、インターネット環境があれば、どこにいても供養ができるのが特徴です。

パソコンやスマホからインターネット経由でメタバース霊園にアクセスし、アバターを通してメタバース上の墓前に献花したり、チャットで他の参列者と思い出話を語り合ったりといった機能を備えています。

そもそもメタバースって何?

メタバースとは「インターネット上に構築された三次元の仮想空間」のことをいいます。「超越」を意味する”メタ”と「世界」を意味する”ユニバース”を組み合わせた造語です。

メタバースでは現実世界と同じようにさまざまな建物が立ち並び、現実世界と同じく常に時間が流れ続けています。アバターと呼ばれる自分の分身を介して仮想空間内を自由に動き回り、他のユーザーと交流したり、商品やサービスを売買したりしてさまざまな体験ができます。

メタバースは主にゲーム分野で活用されています。例えば「あつまれ どうぶつの森」もメタバースのひとつです。

旧Facebookがメタバース事業に注力するとして社名をMetaに変更した2021年10月頃からは、ビジネスミーティングでの利用も活発になり、ゲーム以外でもメタバースの用途が広がっています。

ちなみに、メタバースはそれほど新しい概念というわけではありません。その先がけともいわれる「Second Life」は2003年にリリースされ、日本でも2006年頃に一部ユーザーの間でブームとなりました。

メタバース霊園の先駆け「ネット霊園 風の霊」

ネット霊園 風の霊」は「いつでも、どこでも、誰とでも供養に参加できる」をコンセプトにしたメタバース霊園です。

メタバース上に仮想霊園があり、故人の遺骨ではなく、遺影や動画、音声などを納めます。親族や友人はアバターとなってお墓参りや法要を執り行うことができます。

仮想空間なので、高価なお墓(墓石)を購入する必要がなく、維持管理費も節約できます。いつどこからでも気軽にお墓参りができ、時間や距離の制約がありません。

ただし、仮想空間が故に、実際にお骨を預けることはできません。遺骨については各々で別途管理(供養)する必要があります。

メモ

2021年にサービスが開始されましたが、人員と運営ノウハウ不足を理由に2022年にサービスを停止。その後、別会社に事業が譲渡されましたが、2023年7月現在、新規募集停止のままとなっています。

ペット専門のバーチャル霊園もある

オンライン上で供養するペット専門のバーチャル霊園もあります。
harua(ハルア)

なぜメタバース霊園が話題になったの?

メタバース霊園が話題となった背景には、現代のお墓事情が深く関係しています。

墓じまいをする人が増えている

「遠方に住んでいてお墓の維持管理が難しい」「後を継ぐ人がいない」といった理由で、墓じまいや改葬をする人が増えています。

檀家制度が形骸化している

江戸時代から続く檀家制度は、形骸化しているといえるでしょう。
お寺に支払わなければならない費用の負担が大きく、そうした供養の在り方に疑問を持つ人も増えています。特に都会では、檀家に入らない人が数多くいるのが実情です。

無縁墓が増えている

無縁墓とは、お墓を管理・継承する人がいなくなったお墓のことです。
無縁墓が増加している原因のひとつは、少子高齢化の進行です。少子高齢化が進むことにより、お墓を世話して先祖を供養する後継者がいなくなります。

メタバース霊園が課題を解決する?

こうしたことから、近年では「お墓を建てない」形の供養方法が注目されています。海洋散骨がその代表例ですが、金銭的な負担や距離などを気にせずにお墓参りや法事への参加などができるメタバース霊園も、候補にあがる理由としては十分に考えられるでしょう。

今後の供養のかたち

高くて買えない、遠くて行けない、後継ぎがいないなど、お墓にまつわる課題を抱える人は今後ますます増えていくでしょう。

メタバース霊園なら、高額な墓を購入する必要がなく、墓の維持管理費も節約でき、いつでも遠方からでも気軽に墓参りができます。

一方で、遺骨そのものをどうするかという課題は残ります。別途、永代供養墓や納骨堂に納骨する、海洋散骨するなどを検討する必要があります。自分は気にしなく
ても、家族や親族が、デジタル空間で手を合わせることに違和感を覚えるケースもあるかもしれません。

とはいえ、メタバース霊園は、お墓や供養の課題を解決できる可能性を秘めているといえるでしょう。

ななのひとこと・ふたこと

「ネット霊園 風の霊」は新規入会募集を停止していて、今のところ追随するサービスはないようですが、画期的な試みではあると思います。メタバース自体がもっと普及したら、今後、需要が増加する可能性は十分に考えられますね。