以前参加した介護者支援のつどいで、10年以上介護者のための電話相談を受けているNPOの方から興味深い話を聞きました。
電話相談の内容が少しずつ変化してきているんだそうです。
介護者からの相談内容
実母を介護している娘からの、介護そのものにおける悩みが多いのは今も昔も変わりません。
ただ最近は、介護者と要介護者自身間の問題ではなく、介護者が周囲(身内)との関係性に悩む相談が増えてきています。
介護者が身内との関係性に悩むというのは、例えばこんなことです。
- 何の援助もしないくせに口だけ出す親戚(介護方針に文句をつける)
- 面倒は見ないくせに親の財産は狙っている兄弟
既婚だから、遠距離だから、などといってまったく介護に関与しない
そのくせ、財産を相続する権利だけは主張する
NPOの方はそういったことを話してくれました。
ありえないです。介護者のサポートじゃなくて足を引っ張ってます。そんな身内ならむしろいないほうがいいです。
インターネットなどでも見聞きしますが、本当にあるんですね。そんなひどいことが。
どういう神経をしていたらそんなことが言える・できるのか、不思議で仕方ありません。
介護者が必要とするサポート
介護者は、身内からこんなサポート(援助)をしてもらえたらいいなと思っています。
それは、いったいどんなサポートなのでしょうか。
- 金銭的な援助:介護にかかるお金を一部負担する
- 物理的な援助:主介護者の介護を手伝う(主介護者の代わりにときどき面倒を見る、通院に付き添う、など)
金銭的な援助も物理的な援助も両方してもらえるのが一番いいですが、なかなかそう理想通りにはいきません。
うちの場合、弟が金銭的な援助をしてくれています。
弟は、外ヅラはいいけど、身内には愛想がないタイプ。
そういう点においては、どちらかといえば昔ながらの男性っぽいのかな、と思います。
だから、母親の介護を直接的(物理的)にしてくれることはほとんどありません。
介護におけるサポートは、実はもうひとつある
金銭的援助をするけど物理的援助はせず、口うるさく文句を言うケースもよくあるみたいですね。もし私なら「そんなこと言うなら自分でやってよ!!」と思ってしまいます。
ありがたいことに、弟は私の介護方針に関して口を出す(文句を言う)ことはありません。
弟は弟なりに母のことを心配して気遣ってくれているのは、口に出さないけどわかります。
介護におけるサポートのパターンをふたつ書きました。
実はもうひとつあります。それは「精神的な援助」です。他のふたつと同様、場合によってはそれ以上に大切な要素です。
介護は悩みの連続です。認知症介護の場合、本人と悩みを共有できないので孤独です。
でも、悩みや不安な気持ちを誰かと共有したり、少しでも理解してくれる人がいると、精神的な負担は軽減されるのです。
弟がいて良かったこと
弟とは仲が悪いわけではないのですが、忙しいからなのか面倒なのか、話をしてもそっけないので、ちょっとした介護の悩みや愚痴は話しづらいです。
でも本当に困ったことや大きな決断をするときは、やっぱり弟に相談(というよりほぼ報告だけど)します。
話を聞いてもらえるだけでも気持ちは少し楽になります。普段はサポートしてもらっているという実感はあまりないけれど、「何かあったときは弟に聞いてもらえる」という安心感が、精神的なサポートになっているんだと思います。
ななのひとこと・ふたこと
介護をするようになってはじめて「弟がいて良かったな。兄弟っていいな。」としみじみ感じました。
亡くなった従兄の「ななには弟がいていいな。弟を産んでくれた親に感謝するんだぞ。」ということばの意味を、今さらながら噛みしめています。