高齢者の不明熱 | 熱が続くのはなぜ?

点滴 母の介護

母は2月に菌血症で入院していました。約1ヶ月で退院したのですが、なんと退院したその日に再入院となりました。

めでたく退院したものの…

退院の日、朝10時頃病院に迎えに行くとなんとなく元気がありません。退院の前々日の夜お見舞いに行ったときは、車椅子に座って自分でしっかりご飯を食べていました。その時とは明らかに様子が違います。

看護師さんに「なんか元気なくないですか?いつもと様子が違うようなんですが。」と聞いてみました。
「今朝、熱を測ったときは問題なかったし、朝食も全部食べていましたよ。退院できるようになって良かったですね。」
こう言われてしまい、それ以上何も言えませんでした。この時もっと喰いさがるべきだった、とあとで後悔しました。

39度の高熱

ずっと病院にいたから少し疲れているのかな、と自分に言い聞かせて連れて帰ったものの、やはり元気がありません。ぐったりしているので熱を測ると39度を超えていました。病院から戻ってきた直後です。

すぐに病院に電話して担当医から聞いたのは驚きの言葉でした。
「実は昨夜39度の熱が出たんですが、解熱剤を飲んで、今朝熱は下がったんです。」

は!?
高熱が出る菌血症で入院していたんだから、また熱が出たら退院させずに様子を見るべきじゃないの!?
解熱剤飲ませたら熱が下がったからOKってどういうこと!?
しかもそれを家族に言わずに退院させるっておかしくない!?
というような内容を(もちろんもっとソフトに)医師に伝えました。

正直なところ、これまでもこの医師の対応にはかなり疑問を感じることが多かったのです。
それでも、「治療してもらっているんだから」「うるさい家族だと思われて入院中の母が嫌がらせを受けたら困る」と思ってずっと我慢していました。
でもさすがにこの対応には驚いてしまいました。

高熱の原因

菌血症は治ったのに、なぜ高熱が出たのでしょうか?
再入院していろいろと検査を受けたものの、原因はなかなか判明しませんでした。
結局、原因が分かったのは再入院の5日後。造影剤を使ったCT検査で判明しました。化膿性脊椎炎(かのうせいせきついえん)です。

化膿性脊椎炎とは

血液中に細菌が入り込み、背骨に感染して脊椎を化膿させる病気です。40〜50代の発症が多いそうですが、免疫機能が低下した高齢者もかかりやすいと言われています。

骨と骨のあいだで見つかりにくいため、原因不明の熱とされがちです。急性の場合、高熱と腰や背中の激痛が特徴なのですが、母は認知症のため幸か不幸か痛みは感じていないようです。

治療の方法

治療は抗生物質による薬物療法と安静状態を保つのが基本です。数週間は点滴で抗生物質を投与し、その後、内服薬になるそうです。

点滴

安静を保つため、コルセットを使うことになりました。母の体型に合わせて製作されるため、65,500円かかりました。(申請すれば、健康保険で自己負担を除いた金額が後日返金されます。)

不明熱とは

不明熱とは「発熱が3週間以上持続し、かつ少なくとも3回 38.3℃以上となり、3日間の入院精査にもかかわらず診断の確定しないもの」と定義されています。
大阪大学 免疫内科HPを参照

化膿性脊椎炎など、背骨への細菌感染は不明熱の原因のひとつとされています。

化膿性脊椎炎は、急性だと今回の母のように高熱が出ますが、慢性だと微熱がずっと続きます。

微熱でも軽視しない

微熱は普段から起こりやすい症状なので軽視しがちです。でも、熱が出るということは身体の中でなんらかの異常が起きているということに他なりません。
発熱は、侵入してきた細菌などに対抗する生体防御反応です。

特に高齢者の場合、免疫力が低下しているので、放っておくと重症化しがちです。認知症の場合、症状を自分でうまく訴えられないことも介護者は考慮しなくてはいけません。
高熱が出たらもちろんのこと、微熱でも何日か続くようなら、受診したほうがいいと思います。

ななのひとこと・ふたこと

「脊椎炎(せきついえん)」という病名を初めて聞いたとき、「脊髄炎(せきずいえん)」と聞き間違えてしまいました。
しばらくの間、ずっと脊髄炎だと思っていて、インターネットで脊髄炎について調べていました。
いろいろな病気があるものですね。