親の介護に正解なんてない

正解不正解 母の介護

母の介護をしていて、「今している介護のしかたでいいんだろうか?」「母にとって今の状況は幸せなのかな?」と悩むことはしょっちゅうあります。

悩む内容は、些細なことから大きなことまでさまざまです。

介護に悩む理由

悩む理由は、大きくわけてふたつあります。

  • ひとつは、「母が本当に望んでいることがわからなくて、母の表情や言動で気持ちを推し量るしかない」から。
  • もうひとつは、「介護に絶対の正解はない」からです。

正解不正解

どの介護家族も置かれた状況はさまざまで、親子関係は百人百様です。
状況が違えば、対処方法も変わります。かけられるお金も時間も違います。周囲の理解や協力が得られるかどうかによっても、状況は大きく変わります。だから万人に当てはまる介護のしかたはありえないわけです。

介護における悩みの例

紙おむつを使うことの是非

紙おむつを使ったほうがいいのか?使わないほうがいいのか?悩む介護者は多いです。

母は日常的に紙おむつを使っています。自発的にトイレには行きますが、失禁してしまうことも多いです。

紙おむつは排泄の自律機能を衰えさせるともいわれ、使用に否定的な意見もあります。使わずに済むならそのほうがいいと、私も思います。使い始めは、母だけでなく私もすごく葛藤がありました。

でも(幸か不幸か)今では母は紙おむつに対して抵抗感はなくなり、私は下着の洗濯に関するストレスはなくなりました。だから、理想とは違うけどそれはそれでいいか、と思っています。

在宅介護か施設介護か

「在宅か施設か」というのは介護における大きなテーマのひとつです。

施設に預けることについて抵抗を感じる人は多いようです。でも在宅のほうが良くて、施設介護はダメということは決してありません。

子供の頃、親に虐待を受けていたとか、親との確執があったとかの理由で、そもそも親子関係が悪かったのであれば、介護に積極的になれないのはある意味当然のことです。介護肯定感を感じることも難しいと思います。

そんな気持ちで在宅介護しようとしても、今度は逆に自分が親に虐待してしまうかもしれません。そうなるくらいなら、むしろ施設介護に切り替えたほうがお互いのためです。

うちが在宅介護しているのは、主にこんな要件が揃っているからです。

  • もともと母娘関係が良好だった(できる限り在宅で母と一緒に過ごしたいと思っている)
  • 私が独身であること・子供がいないこと(比較するのもなんですが、育児と介護のダブルケアをしていらっしゃる方に比べて時間や体力面で余裕があると思う)
  • 介護に比較的理解のある会社に勤めている(ある程度、時間の融通がきく)

こうした要件がなければ、在宅介護はしない(できない)かもしれません。

他人と比べて落ち込んだりする必要はない

インターネットや書籍、あるいは介護者の集いなどで、他の介護者の介護への取り組み方や考えなどを知るのはとても参考になります。

でも、他の介護者と自分を比較して「うちの介護のしかたはダメだ」と落ち込んだり、焦る必要はありません。
大切なのは、親の気持ちと介護者の気持ち。そして、自分が今の状況でできることをやることです。

他人の意見やアドバイスを聞いて参考にするのはとても大切です。でも、無責任に批判をしてくる人もいます。そうした無責任な声をいちいち気にしたり、罪悪感を感じる必要はありません。
批判をするその人が、介護を代わってくれるわけじゃありませんから。

親の介護に正解なんてない

状況や考え方は人それぞれなんだから、親の介護に唯一無二の正解なんてないんです。

自分の気持ちに正直に従って、そのときにできうる最善策を選べばいいのです。ここでいう最善とは、理想や完璧を求めることではありません。理想を追いかけ過ぎるのも問題です。

「◯◯だったら最高」と思っても、それが今の自分にとって不可能なことなら、意味がありません。たとえば、「24時間ずっと自分が介護できれば親は精神的に安定するだろう」と思ってみても、それは非現実的です。

また、今この状況では最善だと思っていても、状況が変われば介護のしかたも変わって当然です。心がけるべきなのは、一度決めたやり方をずっとやることではなくて、そのときどきに応じて柔軟に変化することです。

ななのひとこと・ふたこと

今でさえ「時間がない」と感じているのに、ダブルケアされている方はきっと、もっと時間がないはずですよね。
もっと効率的に時間を使いたいと思いつつ、毎日気ばかり焦ってます。なんとかしないと。