先日ネットニュースで見かけた記事。タイトルを見て驚きました。
「介護離職「相談せず」48% 辞めた理由「体力的に難しい」が最多」
介護離職する人の半数近くの人が誰にも相談せずに辞めちゃうの? 本当にそんなにいるの?
画像引用元:東京新聞Web
介護を理由に正社員から離職した人に「離職直前に介護と仕事の両立について誰かに相談しましたか」と聞いたところ、「誰にも相談しなかった」が47・8%に上ることがみずほ情報総研(東京)の調査で分かった。
同社の羽田圭子チーフコンサルタントは「利用できる介護保険サービスなどを知らずに離職、転職している人がいるのではないか。企業や自治体の情報提供が望まれる」としている。調査は、正社員から離職した四十~五十九歳の千人を対象に昨年十二月、インターネットを利用し実施した。
東京新聞Webより抜粋
誰にも相談しないのはなぜだろう?
利用できる制度や介護保険サービスを知らずに離職する人もたしかにいるかもしれません。ただ、そういった人はそれほど多くないんじゃないかと思います。
本文をよく見ると「離職直前に」と書いてあります。
「直前に」というのがポイントで、これが数字を押し上げているのではないかと感じました。
それまでに相談はしていたけれど、相談しても状況は改善しない、もしくは理解が得られない、などの理由で、結局「離職直前には」(いまさら、また)相談してもしょうがない、と介護者が思ってしまった可能性は充分ありえます。
職場に相談しても意味がないのか?
あと気になるのは、上司や人事部に相談して離職した人の割合です。
1/4弱(23.6%)の人が、職場に相談したにも関わらず離職することになった経緯や理由は何だったんだろう?
そもそも会社の支援制度が整っていないからなのか、それとも職場(上司や同僚など)の理解が得られないからなのか。
ニュース記事だけでは分からなかったのでインターネットで検索したところ、みずほ情報総研の調査結果レポートを見つけました。
リンク:介護と仕事の両立を実現するための効果的な在宅サービスのケアの体制(介護サービスモデル)に関する調査研究 報告書
PDFが開きます(全150ページ)
正社員の就業継続が難しかった理由
16ページ(PDF20ページ目)に「元の職場での正社員の就業の継続が難しかった理由はなんですか」という設問・回答があります。
主なものを抜粋します。
- 体力的に両立が難しかった
- 介護は先が見えず両立の見通しが困難だった
- 自分以外に家族で介護を担う人がいなかった
- 介護のために仕事の責任を果たせなくなった
- 自身が介護にもっと時間をさきたかった
- 職場に両立支援制度がなかった
- 上司や同僚等から両立の支援が得られなかった
こうして見ると、介護と仕事の両立には「自分ひとりで抱え込まず、周囲を巻き込む(上手に頼る、利用する)こと」と「職場の理解、協力」が大切だとわかります。
とはいってもそう簡単にできないからこそ、多くの介護者は悩んだり不安になったりするんですよね…。
調査結果資料の最後(資料編-33:PDF115ページ目)に、アンケート回答者の自由回答が記載されています。それぞれの率直な思いや考えが読めて参考になります。
ななのひとこと・ふたこと
150ページにわたる、みずほ情報総研のこの調査レポート。とても読み応えがあります。興味深い内容が多かったので、別記事でまとめなどを書こうと思います。