高齢者がかかりやすい誤嚥性肺炎ーその症状とは?

母の介護

日本人の死亡原因トップ3

厚生労働省の平成26年(2014)人口動態統計によると、日本人の死亡原因のトップ3は以下の通りです。

  1. 悪性新生物 28.9%
  2. 心疾患   15.5%
  3. 肺炎      9.4%

肺炎で全人口の約1割の人が亡くなっているのです。
肺炎で死ぬ人ってそんなに多いの?と思うかもしれませんが、体力・免疫力の落ちた高齢者にとって肺炎は死に至る可能性のある怖い病気です。

高齢者がかかりやすいのは誤嚥性肺炎

ひとくちに肺炎といっても様々な種類がありますが、高齢者が特にかかりやすいのは誤嚥性肺炎です。
母は先月、誤嚥性肺炎にかかり、3週間ほど入院しました。

誤嚥性肺炎とは

誤嚥(ごえん)が原因で発症する肺炎です。

【誤嚥とは?】
食べ物や飲みものを飲み込む動作を「嚥下(えんげ)」、この動作が正しく働かないことを「嚥下障害」といいます。食べ物や飲み物、胃液などが誤って気管や気管支内にはいることを「誤嚥」といいます。

【誤嚥性肺炎とは?】
誤嚥性肺炎は、細菌が唾液や胃液と共に肺に流れ込んで生じる肺炎です。高齢者の肺炎の70%以上が誤嚥に関係していると言われています。再発を繰り返す特徴があり、それにより耐性菌が発生し、抗菌薬治療に抵抗性をもつことがあります。そのため優れた抗菌薬治療が開発されている現在でも治療困難なことが多く、高齢者の死亡原因となっています。
日本呼吸器学会HPより引用

人間が食べ物(や飲み物)を食べるしくみ

  1. 食べ物を「食べ物」として認識する
  2. 口に入れる
  3. 噛む
  4. のどへ送り込む
  5. 飲み込む
  6. 食道を通過し、胃まで送り込む

若くて健康な人であれば、食べ物を食べる(飲み込む)ことについて、毎日当たり前のように行い、深く意識することはないと思います。
でも高齢者は、食べるしくみの機能が低下していたり、気管に入りかけた食べ物を咳で出す力が弱くなっているので、誤嚥しやすくなります。これを繰り返すと誤嚥性肺炎を引き起こしてしまいます。

誤嚥性肺炎の初期症状

誤嚥性肺炎は、発熱や咳などの症状が現れないことも多く、注意が必要です。
「なんとなく様子がおかしい」「いつもと違う」と感じたら、誤嚥性肺炎にかかっている可能性もあります。
「なんとなくおかしいだけだから、少し様子をみてみよう」と思ってしまいがちですが、早めに病院に行ったほうがいいと思います。

誤嚥性肺炎をどう見分けるか・誤嚥性肺炎を見分けるための観察ポイント

誤嚥性肺炎の初期症状は気付きにくいです。
以下のような日常生活の些細な変化が現れたら誤嚥性肺炎を疑う必要があります。

食事中の観察

  • 食欲がなくなっている
  • 食事時間が長くなった
  • 食後にぐったり疲れている
  • 口の中に食べ物を溜め込む
  • 飲み込まない、飲み込みが辛そう

日常生活の観察

  • 元気がない
  • ぼーっとしていることが多い
  • 不穏な行動がある(とくに高齢者)
  • 失禁するようになった

身体的な観察

  • 体重が減ってきた
  • 夜間に咳込む
  • 声がかすれる
  • 口の中が乾燥している
  • 痰がからんだ声を出す
  • 口が開いている(口呼吸)
  • 口がにおう
  • 微熱が続く

介護する人のための誤嚥性肺炎 こうすれば防げる!助かる!p.56より引用

今回の母の場合

はじめは「食欲がなくて、なんとなくだるそう。動作がいつにも増して遅いけど、ちょっと疲れただけかな。寝れば治るかな。」と安易に思っていました。額に手を当てても、手を握っても特に熱いということもなかったので、熱を測りもしませんでした。
翌朝、私は仕事に出かけたものの、母は結局、デイには行かず家で寝ていました。気になって夕方早めに帰宅するとすでに39度の熱があり、救急車で運ばれたのです。
私がもっと早く気付いていればこんなにひどくならなかったのかも、と後悔しました。

ななのひとこと・ふたこと

誤嚥性肺炎は繰り返すと薬に対して耐性ができてしまい、治療に支障をきたします。だから、「かからないように気をつけること」「いつもと様子が違う、と感じたらすぐに病院に行くこと」が大切です。