【書評】「医者には書けない!認知症介護を後悔しないための54の心得」は親の介護を考え始めた人にも読みやすく参考になる

書評

愛読しているブログ「40歳からの遠距離介護」のくどひろさんが書籍を出版されたので、読んでみました。

認知症介護を後悔しないための54の心得

今年の元旦に発売した電子書籍を大幅に加筆して、紙書籍として出版!すごいな、くどひろさん。

くどひろさんはこんな人

40歳のときに、おばあさまの介護のために離職
現在は、認知症のお母様を遠距離介護している

現在介護をしている人だけでなく、介護を考え始める人にも参考になる

「認知症介護を〜」というタイトルだけど、認知症だけじゃなく、親の介護を考え始める人にも参考になると思いました。

その理由です。

さらっと読みやすい文章

専門用語や難しい言い回しがないので、介護や認知症について知識がない人でもとっつきやすそう。

文章全体のトーンが明るいのでさらっと読めます。

具体的で分かりやすい、状況を想像しやすい

お医者さんや介護職の方ではなく、実際に家族介護をしている人が書いているので、困ったり不便だなと思うところが具体的で分かりやすいです。

そしてその解決策はご自身で体験したことなので説得力があります。

ポジティブな考え方で、励まされる

ブログを読んでいてもひしひしと感じるのですが、くどひろさんは考え方がとてもポジティブ。

「一般的には困難とされていることでも、取り方ひとつでプラスにも変えられます。(省略)だから工夫に工夫を重ねて、とことん楽しもうと思っています。」(「終わりに」より一部抜粋)

うぅぅ。素晴らしい!こんな考え方が出来るようになりたいです。

認知症介護をとことん楽しもうと様々な工夫をされています。

その数々の工夫が54の心得としてまとめられています。

介護者の体験談(本)は共感し過ぎて読んでいて泣いてしまうことが多いのですが、この本は違います。共感する点は多いけれど、「読んでいて落ち込まない。むしろ、こちらも元気づけられる。」そんな本です。

読んでいて暗い気持ちにならないので、現在介護をしている人だけでなく、親の介護を考え始めた人にもお勧めです。

54の心得は全部で6章立てになっています

認知症介護者はどういう心構えでいたらいいかが、章を追うごとに掘り下げられていきます。

  • 病院・ケアマネはどうやって選ぶか(1章)
  • 認知症の人との接し方(2章)
  • 介護態勢のつくりかた(3、4章)
  • 介護者自身のメンタル、働き方について(5章)
  • 介護を後悔しないための心得まとめ(6章)

注:上記は章の概略をざっくりと一行にしたもので、実際の章タイトルとは多少違います。

親が認知症かも?と感じたり介護が始まったばかりの人には1〜2章

既に介護が始まっている人が、何をすればいいか具体的に書かれているのが3〜4章

特に私の心に刺さったのは5章です。

殺意まではいかなくても「この人がいなかったら」と考えることはある。そんなメンタルな部分に言及した5章。

いくらポジティブな考え方がいいって言ったって、常にポジティブに明るくいられるわけじゃありません。

くどひろさんだってそうです。

「もしこの人が亡くなったら、介護生活はおわるんだよな」

わたしも何度もあります。「殺意」まで行かなくとも、こんなことを頭のなかで考えながら、日々暮らしています。わたしだけではなく、介護している人ならばだれもが経験しているのではないでしょうか?(省略)だから、殺したいと思うほど、また、燃え尽き症候群になるほど「全力で介護してはいけない!」んです。(心得47より一部抜粋)

無理する必要はない。むしろ無理してはいけないのです。

「さらっと読める。読んでいて暗くならない。」と書きましたが、実はこの5章だけは読んでいて泣きました。

でも暗い気持ちになって泣いたわけではありません。

「うん、うん、そうだよね。すごく分かる。」「私は私なりに出来ることをすればいいんだ。」と改めて思いました。

介護真っ只中の人なら、この5章は、特に共感する部分が多いのではないでしょうか。

私は今後もこの5章は何度となく読み返しては励まされると思います。

ななのひとこと・ふたこと

当事者になるまで親の介護なんて想像もつかないという人が大多数だと思います。私もそうでした。

  • どこに何を聞いたらいいかが分からない。
  • 母にどう接したらいいか分からない。
  • 誰にも相談できなくてつらい。
  • この先どうなるのか、先が見えなくて不安。

そうなった時に慌てないように、こういう心構えを知っているだけで、精神的に全然違います。