認知症だからって安易に身体拘束していいはずがない

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1月11日に放送された「クローズアップ現代+(プラス)」。テーマは「認知症でしばられる!? ~急増・病院での身体拘束~」でした。
山梨学院大学教授・福祉社会学者で、高齢者や障害者政策の在り方を提言している竹端寛さんと、精神科医の上野秀樹さんがゲスト。

母も過去入院した際に「治療に影響があるから」と身体拘束された経験が何度もあります。
身体拘束
番組を見て気になったこと、感じたことをまとめてみます。

身体拘束される患者が増加しているという事実

1日1万件超の身体拘束が病院で行われているという実態。ここ10年ほどで倍増しているそうです。
急増の背景はふたつ。
「認知症入院患者の増加」と「治療のためには拘束もやむを得ないという考えが広まっている」から。

身体拘束は普通に生活していたら絶対にありえないことです。これほど人間の尊厳を傷つけるものはないと言えます。
都内のある病院で身体拘束を受けた患者に対して行ったアンケートによると「トラウマになった」「拷問のようだった」という回答も。

身体拘束に対する違和感の正体

なぜ拘束されなければならないのか。
「身体拘束された本人や家族が感じる違和感は、悪循環が原因」だと竹端さんが話されていました。

縛られたくない。嫌だ。ここにいたくない。という悲痛な気持ち。
でも、そんな気持ちに向き合ってもらえない。患者の意思なんてお構いなし。
つらい。なんとかして欲しい。という心の叫びが、暴言や暴力につながる。

「結果だけ見て、原因を見ていない」から、なんの解決にもならない。

そう、まさに悪循環です。
認知症の人の暴言や暴力は身体拘束に限ったことではなくて、その人の気持ちに寄り添っていないから起こる症状だと、強く思います。

「身体拘束をやめてください」と言えない理由

武田キャスターの「患者さんや家族がおかしいと思ったときに、それをきちんと伝えればいいのではという気もするが?」という疑問に対して。
竹端さん「精神科病床では言えるはずがないという前提があると思っていただいた方がいいと思います」

本人が言った場合 → 精神症状だと言われ、隔離やさらに拘束がひどくなるケースもある
家族が言った場合 → 病状は良くなっていないのに「それなら、退院してください」と言われる

母の場合もまさにそうです。「できるだけ外して欲しい」と医師にも看護師にも伝えましたが、「点滴を抜いてしまい、治療に支障がある」「暴力を振るうので拘束せざるを得ない」と言われました。つきっきりで母のそばにいてあげることはできません。
だから、悲しくて悔しくても、それ以上なにも言えませんでした。

「家族がいるときだけは外してもいい」と言われたので、できるだけ毎日、仕事帰りに、時間が遅くなってもたとえ短時間でも病院に行くようにしていました。
お見舞いに行くたびに(行けないときも思い出すだけで)いたたまれなくて悲しい気持ちになって、でもどうすることもできない自分がもどかしかったです。

大切なのは「事後救済」ではなく「事前予防」

身体拘束を減らす努力をしている都内のある病院の例が紹介されていました。
スタッフの意識改革をして身体拘束を激減させたそうです。

  • 力で制圧しない
  • 人としてきちんと対応する
  • 患者と徹底的に向き合う

「拘束は仕方ない・できない」理由を探すのではなくて、できることからひとつずつやっていくことが重要で、そのための意識改革が必要だと。

「精神病院の中だけが変わればいいという話ではない。それは事後救済でしかない。認知症になっても精神科病院に入らなくていいしくみを作っていく事前予防が大事」と竹端さん。

認知症を社会や地域で支える

入院せずに自宅などで暮らしていけるような取り組みを行なっている福岡市の例も紹介されていました。
13人の精神科医チームが訪問診療を行い、600人以上の体調を把握。休日や夜間でも、患者や介護者の相談に乗り、症状が悪化するのを防いでいるそうです。
環境の変化(入院)は記憶の障害のある認知症の人にはとてもダメージが大きい。だから生活を続けられるようにサポートすることが大事、とも。

これ、いいなあ。うちの地域でも、というより全国に広がって欲しい。具合が悪くなるのに休日や夜間とか関係ないし、24時間いつでも相談に乗ってくれるなんて、すごく心強い。

竹端さん「日本の精神科病棟は諸外国に比べて4〜5倍。まずこれを1/4、1/5 に減らしていくことが必要。病床を減らしたからといって人は削減しない。つまり、人手が厚くなり、患者一人ひとりに向き合う時間や余裕が生まれる。さらに、病院だけにとどまらずに地域に出て行く。そうすれば、地域の医療を充実させることができる」

参考ブログと団体の紹介

ゲストのおふたりが、番組で話されたことについて、それぞれブログに書かれています。
精神科医の上野秀樹さん「身体拘束を考える視点」(その2、その3もあり)
山梨学院大学教授の竹端寛さん「身体拘束を減らす4つの視点」

こういう活動をされている団体もあるんですね。杏林大学教授の長谷川利夫さんが代表。
精神科医療の身体拘束を考える会

ななのひとこと・ふたこと

身体拘束は治療のために本当にやむを得ないことなのか。縛らないという選択肢はないのか。
そもそも、「認知症になっても精神科病院に入らなくていいしくみ」「認知症になっても大丈夫な社会」を作っていく。そのために私たち一人ひとりが意識を変えていく必要があるんじゃないかと。身体拘束に限った話ではなく。今後ますます高齢化が進んでいくなかで向き合わなくちゃいけない問題だと、改めて思いました。

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コメント

  1. ゆうこ より:

    母も入院当時は意識もはっきりしていて「帰る大丈夫だから帰る」と言っていたのですが日に日に弱っていっています。今では言葉も意識も朦朧としていて、たった1か月なのに信じられない気持ちです。個人的な感想ですが、病院側がただただ管理しやすいように拘束し食べ物はチューブにしているようにしか思えません。納得できな気持ちを抱えながらもどうすることもできず、弱っていく母を見ていることしかできないのがすごく悔しいです。

    • なな より:

      ゆうこさま
      病院側が管理しやすいように拘束しているのでは、と思う気持ち、私も全く同感です。
      お母様のことが心配です。医師や看護師に言っても無理なら、転院するという選択肢は難しいですか? 
      病院のソーシャルワーカーは相談に乗ってくれなさそうですか?

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