母の日にふと思い出す「嚥下障害」と「誤嚥性肺炎」

母の介護

昨日は母の日でした。母がまだ普通に食べられていた頃は、母の日やクリスマス、誕生日などには、いつもケーキを買って一緒に食べたことを思い出します。

飲み込む力が落ちてしまう「嚥下障害」

私たちは普段、何かを食べたり飲んだりするときに、特に困ったり悩んだりすることなく、飲み込む動作をしています。無意識に、当たり前のようにやっていることです。

ところが高齢者の場合、こうした動作が難しくなって、食べるとむせてしまったり、うまく飲み込めずに口からこぼれてしまったりすることが多くなります。いわゆる「嚥下(えんげ)障害」です。

嚥下というのは、口の中で食べ物(や飲み物)を噛み砕いて飲み込みやすい形にして、食道から胃へ送り込むことをいいます。嚥下がうまくできなくなってしまうのが嚥下障害です。

高齢になると、口内の筋肉がだんだんと衰えてきて、舌で口からのどへ食べ物や飲み物をスムーズに送り込みにくくなります。また、のど仏の位置も下がるそうです。

通常であれば、飲み込む時に無意識に気道を閉じるので、飲食物は食道に流れます。でも、のど仏を持ち上げる筋肉が弱くなると、飲食物が気管に入りやすくなってしまいます。これを「誤嚥(ごえん)」といいます。

嚥下障害を甘くみてはいけない

嚥下障害になると食事がうまく取れなくなり、低栄養や脱水症状を引き起こす可能性があります。誤嚥すると、むせたり咳き込んだりするほか、食べ物がのどに詰まって窒息する恐れもあります。

むせたり咳き込んだりするのは苦しいものです。でも、怖いのはむしろ、咳をする力が低下すること。咳をするのは、気管に入った異物を取り除こうとするための防御反応なのです。

誤嚥を繰り返し、また、咳をする力が弱くなると、口内の細菌や食べかすなど本来気管に入ってはいけない異物が気管から肺に流れ込みやすくなります。その結果、発症するのが誤嚥性肺炎です。65歳以上になると、肺炎は死亡原因のトップ4に入ります。誤嚥性肺炎は、命を脅かす病気なのです。

寝ているときに誤嚥を起こすこともある

食事時にむせたり咳き込んでいないからといっても油断は禁物です。誤嚥は飲食物だけでなく、唾液でも起こるからです。寝ているときに唾液が気管に入ってしまい、知らぬ間に誤嚥性肺炎になることもあります。

母もちょくちょく誤嚥性肺炎で入院しました。歳をとるにつれてその回数も多くなり、年に2、3回は肺炎で入院するような状態でした。

食事時にむせることはそれほどなかったように思いますが、就寝中に唾液を誤嚥することが多かったみたいです。嚥下機能は徐々に低下していました。

ななのひとこと・ふたこと

母はフルーツがたくさん載っているケーキが好きでした。味はもちろんのこと、見た目の華やかさも好みだったのかもしれません。私はチョコレートケーキが好きです。