【高齢者の食事について】 介護食=病人食ではない。美味しく楽しく。そして適度に手抜きをしよう。

母の介護

明けましておめでとうございます。
母娘ともども(それなりに)元気で新年を迎えられたことを感謝しつつ。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

これまでお正月は例年、お餅を食べていましたが、今年は我が家では食べるのをやめることにしました。お餅が大好きだったら別ですが、うちは母も私も、特にお餅好きというわけでもないので、あえて食べなくてもいいかなと思ってます。

高齢者の食事作りって何に気をつければいいの?

母が昨年、誤嚥性肺炎で入院してから、誤嚥に対してかなりナーバスになっていました。
「嚥下機能がかなり低下している」と主治医の先生に言われて、入院中の大半はとろみ食が続きました。
家でもこういう食事にしなくちゃいけないのかな、と「高齢者のための介護食」とか「ソフト食の作り方」といった本を何冊か読みました。でも、なんかあんまり美味しそうじゃないし、料理が得意ではない私にこんな手間のかかる食事が作れるのかな、と不安になりました。

そんなとき、料理研究家で管理栄養士の村上祥子さんの「ボケない介護食。しかも、美味しい。」を読んで、「美味しく食べることが一番大切。頑張りすぎなくていい。」とわかって勇気づけられました。特に参考になった点を、うちの場合と絡めてまとめてみます。

「介護食=病人食」ではありません。ソフト食にこだわらなくていい。楽しむための食事を。

高齢者はみんな和食が好き?薄味で柔らかいものじゃないとだめ?そんなことはありません。母は、最近ご飯(お米)よりパンを好んで食べます。飲み物だと、甘いものが好きです。水やお茶はあまり飲みたがらないのに、コーヒー牛乳だとすすんで飲みます。
行動範囲が徐々に狭まっていく高齢者の日々の生活において、食事は最も楽しいことのひとつ。だからこそ、楽しんで食べてもらう工夫が大切です。

「数字」よりも「美味しさ」を重視する。

どんなに栄養にこだわっても、食べてくれなければ意味がありません。本人が食べたいもの、好きなものを食べてもらうほうがいいです。
塩分、糖分、カロリー…健康管理のために細かな数字にこだわらないこと。栄養バランスはもちろん大切ですが、美味しくないものを食べるストレスのほうが良くないです。
嫌いなものばかり並ぶ食事のせいで食欲が落ちて、体力も落ちちゃったら本末転倒ですね。

一日三食、きっちり食べなくてもいい。

食べたい時、食欲がある時に食べてもらいましょう。一食抜いたからと言って、すぐに健康を害することはありません。
無理に三食食べさせようとすれば、かえってストレスになったり、迷惑をかけまいと我慢してしまうことも。
母は機嫌が悪くなると何を言っても聞かないので、無理に食べさせないようにしています。また、高齢になると、消化液の分泌量が減るため、消化に時間がかかります。母はもともと食いしん坊なので、だんだんと食べる量が減ってきているのが心配でしたが、それが年相応なんだな、と最近は思います。

一食三品で大丈夫!品数が多ければいいというわけではない。

認知症の人は、食卓にたくさんの料理が並ぶことで「疲れる」「不安になる」ことがあります。何から箸をつけていいかわからなくなり、混乱してしまうからです。
それに、食事は毎日のことですから、作るほうが疲れてきてしまいます。私も以前はなるべく品数を多く、と思い込んでいましたが、食べる量は減ってきていて残すことも多いです。最近は、作りすぎないようにしています。そのほうが自分も楽だし。

とろみ剤に頼らずに、とろみのあるおかずを作る。

誤嚥が怖いからといって何にでもとろみ剤を入れるのはやめましょう。とろみのつけ過ぎは逆効果になることも。
片栗粉や上新粉、里芋、長芋、もずくやオクラなどとろみのある食材を上手に利用。洋食なら、チーズやホワイトソースなどでとろみをつけるといいです。

楽しむための食事には、献立にメリハリをつけることも重要。どれも似たような薄い味付け、似たような舌触りや喉ごしだと、いくら材料や調理法を工夫しても、同じような印象になります。

缶詰や常備菜で栄養管理。

介護に疲れた…と思ったら、頑張りすぎず、手抜きをすること。缶詰や常備菜で手軽に栄養を摂る工夫も必要です。

「見た目」「香り」「温度」をおざなりにしない。

「認知症だから、何を出してもどうせわからない」ということは、決してありません。
香りや見た目の工夫で、「美味しそう」と思わせることが、食欲を引き出す第一歩です。

家電を上手に利用する。

フードプロセッサー、電子レンジ、圧力鍋など家電や調理器具を上手に使うことは、時間や体力の節約になります。介護食作りも、食事の介助も、心にゆとりを持つことから。
加工食品はなるべく使いたくないと思っていましたが、あまり料理が得意ではないので最近は無理しないようにしています。冷凍食品なども利用して適度に手抜きしています。

ひとりで全部完璧にやるという発想は捨てて。介護食作りには手抜きも必要。

料理は作り手に活力があるからこそ、できるもの。疲れたと思ったら、「誰か」に手伝ってももらうこと。手を抜く・サボる・誰かに頼む。この三つが大切。
料理だけじゃなくて、介護全般にあてはまる三原則だと思います!!
今後は、高齢者向けの食事宅配サービスの利用も検討してみようかな。

一番大切なのは、一緒に食べるよろこび。特別扱いはしない。

家族と一緒に同じものが食べたい。それが本音。
介護のための特別な食事は作らないという発想は、作る側だけでなく、作ってもらう側にとってもよろこびです。自分だけ特別なものを食べさせられていることで、不安や焦燥感を駆り立てられることもあるのです。もちろん、具材を細かくしたり、とろみをつけるなどの工夫は必要になるかもしれませんが、噛む力が残っているのなら、なるべく家族と同じ献立にしましょう。
今は母と私はほぼ同じものを食べています。おかげさまで今のところ母の嚥下機能はわりと良好なので、母のために特に調理を工夫しているということはありません。

ななのひとこと・ふたこと

何事も無理は禁物だなー、と思います。適度に手抜き・息抜きしないとね。