医療行為を受ける際の同意書について考える

書類にサイン 母の介護

造影剤を使ったCT検査を母が受けるにあたって、娘である私は同意書へのサインを求められました。

造影剤は少なからずリスクがあるため、造影剤を使用していいかどうかの確認書です。

書類にサイン

サインしないという選択肢はあるのか

CT検査では造影剤を使わない単純CT検査もありますが、医師は必要だから造影剤使用を提案しているわけです。
高熱の原因が特定できず治療方針が固まらないなか、「より鮮明な画像診断のために造影剤を使う必要がある」と言われれば、「はい」と言わざるを得ないです。

同意書にサインしなければ治療や検査が受けられないのだから、サインを拒否する(同意しない)という選択肢は実質的にありえないのでは?と思います。

医師が代筆でサイン

先月のことです。母が入院している病院の医師より、電話で連絡がありました。

「明日造影CT検査を行いたいので、同意書にサインをお願いします。」

造影剤というものについて、そのとき初めて知りました。

「同意書にサインが必要ということは、なにかリスクがあるんですか」と聞いたところ、「まれにかゆみや吐き気などを起こすことがありますが、もしそうなったとしても、特に治療を必要とせずに検査当日にほぼ治まります。」と言われました。

詳細な症状を知るためには造影CT検査を受ける必要があり、その程度の副作用リスクなら許容範囲かな、と判断しました。

(あとで調べたら、頻度は低いけど、重篤な副作用が起きる可能性があることがわかりましたが。。。)

その日は残業する必要があって病院には行かれないことを伝えると、「明日の検査までに病院に来られないなら、こちらで代筆してサインしておきます。」と医師が言ってくれたので、代筆をお願いしました。

喘息だと副作用リスクは高くなる

翌日の夜に病院に行って、医師が代筆してくれた同意書を見て驚きました。
同意書には、造影剤を使用するにあたってのいくつかのチェック項目がありました。
その中のひとつに「喘息がある/ない」という項目があり、「ない」に◯がついていたのです。

前日電話で話した際には、このようなチェック項目についての言及はありませんでした。

喘息だと、造影剤の副作用リスクが高まるそうです(場合によっては禁忌)。

電話をもらったときに即答せず、せめてインターネットで調べてから返答すべきだったのか、とあとになって反省しました。

「入院の際、母は喘息だということをきちんと伝えていたのに、どういうことですか。」と聞くと、「すいませんでした。でも副作用の症状は起きていないので問題ないと思います。」と言われました。

結果的には問題なかったから良かったとはいえ、適当過ぎるこの医師に対して信頼感はまったくありません。

同意書はどんなときに必要なのか

医療行為には、原則として本人の同意が必要とされます。

医療行為には、原則として本人の同意が必要とされる。それは何故か。
理由の一つは、同意が違法性阻却事由となることにある。すなわち、医療行為は、(純粋な問診などを除き)多かれ少なかれ本人の身体等の傷害またはその危険を伴う行為である。このような医療行為を医的侵襲行為と呼ぶことがある。このような医的侵襲行為は、刑法の傷害・暴行の構成要件に該当し、原則として違法(民法上も違法)となる。但し、本人の同意がある場合は(刑法35条の正当業務行為に該当し)違法性は阻却されるのである。

東京東部法律事務所HPより引用

つまり、「医療行為は身体を傷つけたり危険が伴うものなので、傷害・暴行にあたり、刑法・民法ともに違法行為。ただし、本人の同意があれば違法性はない。」ということですね。

とはいえ、全ての医療行為に対して同意書が求められる訳ではありません。
例えば採血やレントゲン撮影などでいちいち同意書を取っていたら検査はちっとも進みません。

また、一刻も早く処置をする必要がある患者に対しては同意書がなくても緊急処置が施されます。処置をしなければ取り返しのつかなくなる可能性があるからです。

手術や副作用リスクの高い検査を受ける際は、通常、同意書にサインを求められます。

ただし、同意書を取る・取らないの明確な判断基準はなく、各医療機関に委ねられているのが実情のようです。

家族に同意権限はあるのか

本人が同意書にサインできない場合、そもそも家族ならば同意書にサインする権限があるのか、という点にも疑問が残ります。

例えば

  • 本人の意識がない
  • 認知症などで判断能力がない
  • 未成年者で意思決定能力がない

このような場合、本人の同意を得ることはできないかもしれません。ただ、いくら家族とはいえ、家族の判断した結果が、必ずしも本人の意思とは一致しない可能性も充分ありえます。

本人の代わりに同意する権限が、「家族だからある」といえるのかは、難しい問題です。

ななのひとこと・ふたこと

この医師(神経内科)にはいろいろと不信感があるので、「脊椎炎なら整形外科に転科にはならないんですか?」と医師本人に聞いてみました。
「手術を伴うことになれば外科扱いになりますが、そういう状態ではないのでこのままです。」との回答でした。

神経内科から整形外科に転科されれば担当医が変更になるのにな、という淡い期待は破れました。。。